なぜ痛くなったかを考える
肩や肘が痛くなったときに「なぜ痛くなったか」を考えてアプローチすることが大切。
野球の練習を続けていると、肩や肘、腰などに痛みを覚えることがあると思います。そのとき痛くなった部位を中心にアイシングやストレッチなど、出来る範囲でのセルフコンディショニングを行うことが多いと思いますが、一方で毎日ケアをしていてもあまり状態が良くならない(もしくはどんどん痛くなる)こともあるでしょう。痛みが出た部位への適切な対応は必要ですが、それと同時並行して「なぜ痛くなったのか」という原因を考えてみることも大切です。
ピッチングやスローイングなどの投球障害の場合、肩痛や肘痛を起こす原因は、肩や肘そのものにあるのではなく、体の使い方や下肢・体幹の柔軟性や筋力などによってフォームが崩れ、結果として肩や肘に負担がかかるような動作を繰り返しているケースが少なくありません。まずはスローイングフォームなどをチェックしてみましょう。指導者の方にみてもらったり、キャッチボールの相手に確認してもらったりすると、自分では気がつかなかったフォームの改善点が見つかることがあります。スマホなどを使って動画を撮影してみることもよいと思います。
またフォームチェックと同時に、体幹や下肢の柔軟性や関節可動域(関節の動く範囲)などもチェックしてみましょう。投球側と非投球側では左右差が顕著に現れることがあります。疲労によっても柔軟性や関節可動域は低下しやすくなるため、投球動作を繰り返しているうちにだんだんと疲労がたまってフォームや姿勢が崩れていたということもあります。必ずしも左右対称を目指す必要はありませんが、あまりにも差が見られる場合は、体のバランスを整える意味でもストレッチやトレーニングなどを行って、体全体のコンディションを上げるようにしていくことが大切です。痛みのある部位だけではなく、全体から痛みをとらえられるように「なぜ痛くなったか」を考えながらセルフコンディショニングを行いましょう。
文:西村 典子
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