傷を乾かさない湿潤治療とは

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2019.04.16

擦り傷はベースに滑り込んだり、接触プレーをしたりしたときによくみられる

 野球をしていると出塁してベースに滑り込んだり、接触プレーなどで転んで擦り傷や切り傷などを受傷したりすることがあります。スライディングなどで膝をすりむいた程度であれば、止血をしてそのままプレーをするということも少なくありませんが、擦過傷(さっかしょう:いわゆる擦り傷)への正しい対応を理解しておきましょう。

 皮膚をすりむいた場合、まず傷口部分を清潔に保つ必要があります。損傷した皮膚から病原菌や土砂などの異物が入るのを防ぐためです。細菌による感染は数時間で成立してしまうともいわれているのでそのまま放置せず、まず患部を流水でよく洗うようにします。出血の程度が軽い場合にはそのまま自然に出血が止まるのを待ちますが、出血が多い場合には清潔なガーゼなどを直接あてて止血します。

 以前は傷口を消毒・乾燥させ、かさぶたが自然にできるのを待つようにするのが一般的でしたが、傷の治癒を早めるためには患部を湿らせた状態に保つことがより適切であると言われるようになってきています。これを湿潤(しつじゅん)治療といいます。患部を湿らせた環境におく湿潤治療は「消毒をしない」「傷口を乾かさない」「ガーゼで傷口を覆わない」(出血時のガーゼ利用はあくまで止血のため)ことを基本としています。今ではドラッグストアなどに患部を乾かさないように保つ絆創膏なども市販されています。ただし患部を湿らせた環境におくということは、傷ついた組織が早く回復する環境であるとともに、もし細菌がその場にとどまっていれば細菌も繁殖しやすくなるということなので、注意が必要です。

 砂利や砂などがまじった広範囲に及ぶ擦過傷や、動物などに噛まれた傷(咬傷:こうしょう)はさまざまな感染症を引き起こす危険があります。また傷口全体から出る水分が非常に多かったり、壊死状態の組織がある場合も同様に自己判断で湿潤治療を選択せず、まずは病院を受診するようにしましょう。時間の経過とともに痛みや腫れがひどくなってきた場合も同様です。応急処置が不適切であると、傷口などから細菌が入り、患部付近が急に痛みを伴って腫れる蜂窩織炎(ほうかしきえん)などを起こすことがあります。軽い擦り傷だからとそのまま放置せず、適切な対応を行うようにしましょう。

文:西村 典子
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