「1点差2アウト満塁」の奥深さ!野球を知ると上手くなる!
和歌山大の三塁走者がホームスチールを仕掛ける
12日に行われた大学野球の近畿学生リーグ、和歌山大(和大)vs大阪工業大(大工大)でこんなシーンがあったので紹介します。
2-2で延長タイブレークに入り、10回表に大工大が1点を勝ち越しました。
その裏、和大の攻撃。0アウト1,2塁からのタイブレークですが、バントヒットのあと、内野ゴロと三振で2アウト満塁。
打席は和大の主将・吉野友章選手(4年・近大附属)。カウントは2ボール2ストライクからの5球目でした。和大の三塁走者がホームスチールを仕掛けます。タイミングは完全にセーフで、投球がボールならば同点になったはずでした。
しかし大工大の左腕・齋藤広晃投手(3年・初芝立命館)の投球はストライクとなりゲームセット。1点差の接戦を大工大がものにしました。
和大は2年前に大学選手権に出場した時に話題になったように、ノーサイン野球が基本です。
試合後、大原弘監督に伺うと、あの場面もノーサインであったことを明かした上で、「1ストライクの時、ここ(で走れれば)と思ったんですがね」と話してくれました。
1ストライクであれば、仮に投球がストライクでもホームスチールが決まっていた可能性があります。もちろん、守備側も1ストライクならホームスチールを頭に入れているかもしれませんが・・・
2ストライクでも、ヘッドスライディングして完璧にホームスチールが決まっている以上、確率的には打者はそう簡単には打ちにいけません。もし、走者に当たっていたとしたらと考えると・・・
難しい場面ですが、色んなことを想像して考えられる、イイ場面でした。
ちなみに守る大工大の捕手は2年前の夏の[stadium]甲子園[/stadium]でベスト8まで進んだ明豊の正捕手でもあった吉村建人選手(2年)でした。試合後に吉村選手にあの場面を伺うと、「走ってきたのは見えましたが、(投球が)ストライクだったので」と冷静だったことを明かしてくれました。少しでも捕手が焦っていれば、逆に仕掛けた和大に運が向いたかもしれません。ここは高校時代から経験豊富な吉村選手の良さ、冷静沈着な部分を見た気がします。さすがと言えるでしょう。
吉村建人(大阪工業大)、左は明豊高校時代の吉村
攻める側の大原監督と守る側の吉村選手の話を聞くだけでも勉強になることは多々あるのではないでしょうか。野球って面白い、奥が深いと思いませんか?
高校球児の皆さん。1点を追っての2アウト満塁のホームスチール。カウント、状況など様々ですが、ぜひ色んなことを想像しながら考えてみましょう。
野球は頭を使うスポーツでもあります!
(文:松倉雄太)