デッドボールと応急処置
デッドボールなどの打撲に対してはコールドスプレーはあくまでも一時的なものであることを覚えておこう。
試合の時になかなか防ぐことのむずかしいアクシデントの一つにデッドボールがあります。ボールが当たった選手に対し、コーチャーボックスにいる選手が患部にコールドスプレーをかけているシーンをよく見かけますが、コールドスプレーはあくまでも一時的なものであり、皮膚表面からの冷却のみでは十分な応急処置であるとはいえません。プレーができるかどうかの判断とともに、その後のRICEなどの応急処置を行うようにしましょう。
デッドボールが当たったときに確認したいことは、
●頭頸部・顔面への打撲かどうか(この付近への打撲は重篤なケガにつながりやすい)
●当たったときに音がしたかどうか(骨折などの疑い)
●明らかな変形が見られるかどうか(骨折などの疑い)
●しびれや変色が見られるかどうか(一時的なものかどうか)
といったことです。実際にボールが体に当たると痛みを伴うことがほとんどですが、そのままプレーを続けられると判断しても、時間の経過とともにどんどん痛みが増してくることも少なくありません。痛みは当たった本人しかわからないものですので、プレーを続けるのがむずかしそうだと感じた場合はすぐにプレーを中止し、応急処置を優先させるようにしましょう。また周りの人は当たった選手の様子を見ながら、痛みの部位をかばってプレーがぎこちなくなっていないか、脂汗などいつもとは違った様子が見られないかを注意深く観察する必要があります。
突発的に起こるケガはスポーツ外傷と呼ばれ、急に大きな衝撃が体に加わることで、痛みが出る、患部が腫れてくる、内出血がみられる等の炎症症状が起こります。氷や氷水を使ったアイシングは、こうした炎症症状をなるべく最小限度にとどめる目的で行われます。急性期の炎症症状はおよそ48時間〜72時間程度(2、3日)続くといわれ、炎症症状が落ち着くまでの期間は患部を冷却することを優先させましょう。
文:西村 典子
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