トレーニングで柔軟性アップ
お尻とハムストリングスを収縮させると、太ももの前側にある筋肉は伸ばされる
ケガをしない体づくりとして欠かせないものの一つにストレッチが挙げられます。特に筋肉の柔軟性が低下してしまうと、関節可動域(関節の動く範囲)がせまくなり、しなやかな動きを制限してケガをしやすくなります。ストレッチの重要性は多くの皆さんがよく理解されていると思いますが、一方では「ストレッチをしているが、あまり柔軟性が改善しない…」という悩みをもつ人もいるのではないでしょうか。
柔軟性の改善はストレッチだけではなく、トレーニングによってもアプローチすることが可能です。筋肉は一つの筋肉が収縮するとき、その反対側にある筋肉がゆるむ「相反作用」が働きます。この作用を利用して伸ばしたい筋肉と反対側に位置する筋肉をトレーニングすると、目的の筋肉をゆるめることにつながります。たとえば太もも前側の筋肉(大腿四頭筋)を伸ばしたいときには、その反対側にあるハムストリングスを鍛えるエクササイズを積極的に行うと効果的です。ハムストリングスが筋収縮を繰り返すことで、反対側にある大腿四頭筋は伸ばされるからです。
ハムストリングスを鍛えるためのエクササイズとしては、膝をあまり曲げない状態でお尻を突き出し、ハムストリングスをしっかりと伸ばした状態から刺激を加えるルーマニアンデッドリフトや、マシンや徒手抵抗を用いたレッグカール、寝転がった状態からハムストリングスを収縮させるヒップリフトなどさまざまなエクササイズがあります。目的とする筋肉をストレッチしてもあまり柔軟性が良くならない…と感じる時には、反対側にある筋肉を積極的に鍛えることもまた柔軟性改善につながることを覚えておきましょう。
文:西村 典子
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