「スーパー中学生」でなくても焦る必要は全くない！大器晩成のプロ野球選手たち

高校時代は2番手投手だった上原浩治投手（巨人）

　近年、「スーパー中学生」の存在が盛んにピックアップされるようになってきた。一昔前では考えられなかった、140キロを投げる中学生が毎年のように出現するようになり、2018年には高知中の森木大智が最速150キロまで到達するなど、中学生のレベルが確実に上がってきていることも要因の一つだろう。

　だが当然ながら、すべての中学生のレベルが向上しているわけではない。中学生の時期は成長期であり、体が出来上がっていないのが当たり前だ。
　もし、「スーパー中学生」と呼ばれている選手たちとの圧倒的な実力差に、気落ちしている中学球児がいるならば、筆者は焦る要は全くないと声を大にして言いたい。

　そこで今回は、高校時代は控えでも、その後に大きく飛躍した「大器晩成」のプロ野球選手たちを紹介していきたい。

　まずは2018年に巨人に復帰を果たした、上原浩治に触れないわけにはいかない。ご存知の通り、高校時代は控え投手ながら「世界一のクローザー」にまで登りつめた投手だ。
　東海大仰星高時代は、同級生にエースの建山義紀（元・日本ハムほか）がおり、控え投手だった上原投手。高校卒業後も１年間は浪人生活を送り、勉強とアルバイトに励んだ。その後、進学した大阪体育大でその才能が開花し、プロ野球の世界へと進んでいったのだ。

　同じ巨人では、澤村拓一投手の高校時代にも触れておきたい。中央大学時代に157キロのストレートを叩き出し、ドラフト1位で巨人に入団した澤村投手も、佐野日大高校時代は「三番手投手」の位置づけだった。
　中央大学進学後に、その悔しさを晴らすかの如く筋力トレーニングに打ち込み、球速もみるみる上昇。そこから巨人での活躍へと繋がっていったのだ。

　最後に紹介するのは、中日ドラゴンズの又吉克樹投手だ。西原高時代は元々内野手で、兼任で控え投手も務めていたという又吉投手。その存在は無名に等しかった。
　だが、進学した環太平洋大で球速は140キロに達し、その後に進んだ四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズで投手として急成長。独立リーグ出身の最高順位であるドラフト2位で、中日ドラゴンズに入団を果たした。

　高校時代に控えだった選手は、他にも多くいる。広島のレジェンド・黒田博樹投手も上宮高校時代は控え投手であり、WBCで2度の世界一に貢献した渡辺俊介投手やメジャーリーガー・平野佳寿投手も控え投手だった。
　人間の体が成熟するのは、高校を卒業してからだ。それまでは諦めずに、前向きに野球と向き合ってほしい。

（文：栗崎 祐太朗）