野菜ジュースは野菜の代わりになる?
野菜ジュースは加熱処理に強い栄養素を手軽にとることができる。普段の食事で野菜をとることも忘れずに。
体づくりに欠かせない栄養素といってまずはじめに思いつくのはタンパク質ではないでしょうか。ところがタンパク質はそれを単体でとるだけではなく、代謝に必要なビタミンやミネラルなどを含むものもあわせてとる必要があります。ところが朝食でパンとジュースをさっととるだけだったり、食事を丼物や麺類だけで済ませてしまうと、ビタミンやミネラル不足に陥りやすくなります。特に男子アスリートは野菜不足を指摘されることが多く、「野菜の代わりに野菜ジュースでもいいですか?」と尋ねられることもしばしば。
一日に必要な野菜の量は350gといわれていますがこれは小鉢5〜6皿分に相当し、意識して野菜をとるようにしないと毎日必要量をとることはむずかしいかもしれません。特に野菜を加熱してしまうと熱に弱いビタミン類は壊れてしまいますし、生野菜でとるにはかさが多すぎて食べきれないということも考えられます。これを市販の野菜ジュースに置き換えてみると、手軽にビタミンやミネラル分がとりやすいというメリットがあります。
ただし野菜ジュースは原材料を一度加熱して水分を蒸発させ、濃縮する「濃縮還元」のものが多く、これに糖分や食品添加物などを加えて飲みやすさを考慮しています。加熱処理に弱いビタミン類は、加工段階で失われやすく、後から添加物として入れられているものが多くなります。その一方で加熱処理に強い栄養成分は豊富に含まれるため、効率よくとることができます。緑黄色野菜を原料としたものには抗酸化作用があるビタミンAやベータカロチン、余分な塩分を体外に排出する作用のあるカリウムなども豊富に含まれます。野菜ジュースにはさまざまな種類がありますので、パッケージの栄養成分表示で内容を確かめるようにしましょう。
野菜ジュースではある程度の野菜の栄養素をとることが可能ですが、効果的に摂取できる栄養素と摂取しにくい栄養素があります。また飲みやすさを考慮した糖分も含まれるので、習慣化し、大量に飲むと糖分をとりすぎてしまうことにつながります。野菜ジュースはあくまでも食事の補助食品としてとるようにし、食事では野菜も積極的にとるように心がけましょう。
文:西村 典子
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