投げ終わった後には次回に備えたクールダウンを
投げ終わった後には次回に備えたクールダウンを
投げ終わった後に肩や肘などを氷で冷やす場面をよく見かけます。投球後はどのようにケアをしていけばよいでしょうか。アイシングを行うことはもちろん肩や肘にかかった負担を軽減するために必要なものですが、すべての選手に必要なものというわけでもありません。患部を冷やしてしまうと炎症は抑えられますが、関節の動きが悪くなったり、筋肉が冷やされることによって硬くなってしまうこともあるからです。
投球時には腕を前方に振り出す動作を繰り返すため、どうしても肩(上腕骨頭)が前方に移動し背中が丸まってしまう傾向にあります。まずはそこをエクササイズなどで改善させるようにしましょう。チューブを柱などにかけ、利き腕を使って引っ張る動作を行うと、投球動作の動きとは逆の筋肉を多く使い、筋バランスの改善につながります。また肩のインナーマッスルをエクササイズなどで刺激することもよいでしょう。「押す」動作ではなく、軽負荷で「引く」動作のエクササイズを繰り返し行い、背中や肩の後ろを中心に刺激を入れるようにします。
エクササイズを一通り終えた後にアイシングを行うかどうかを判断します。投球後に行うアイシングとしては、
1) クールダウン:痛みはなくても熱感や組織内に細かな損傷があるのでこれを放置せず、疲労を回復させる(ケガ予防)
2) 痛みの鎮静:痛みや熱感のある部位に対し、炎症が拡がらないようにする(RICE処置)
の2つが考えられます。痛みを感じない場合は、クールダウンとして10分程度患部を冷やすようにします。少し痛みが残っていたり、以前傷めた部位だったりする場合はもう少し長い時間(15~20分程度)をかけるようにしましょう。
もう一つ取り入れてもらいたいコンディショニングとしては、クールダウンを兼ねたジョギング・ランニングです。肩や肘に痛みがある場合についても、アイシングによって局所の血流は抑え、疲労回復には全身の血流を促進させることが不可欠です。話ができる程度の軽いペースでゆっくりとジョギングを行い、身体が温まったところでストレッチをしてからクールダウンを終えるようにしましょう。
文:西村 典子
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