夏のグランドと筋けいれん
人工芝はより身体に負担がかかりやすい。暑い時期の特に筋けいれんに注意しよう。
暑い時期の試合ではいつも以上に汗をかくため、水分とともにミネラル分が排出され、血液中の電解質バランスが乱れて筋けいれんやいわゆる「足のつり」を起こすことがあります。身体を動かすと筋肉は必ず収縮しますが、このときにナトリウム(塩分)、カルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラル分が必要になります。
しかし運動をして汗をかき、脱水状態におちいるとミネラル分や水分不足から筋肉がうまく働かなくなり、筋肉に指令を出す神経が興奮して筋けいれんを起こします。筋けいれんは電解質バランスの乱れだけではなく、筋疲労によるものや、食後などで筋肉への血流が不足している状態、筋温が下がっているときにも見られることがあります。
筋疲労に由来するものの一つに地面の影響が考えられます。以前はほとんどのグランドが天然芝を使用していましたが、改修工事などを経て人工芝を使用する球場が多くなってきました。
人工芝はメンテナンスにかかる費用や管理の面でメリットがある一方、プレーヤーにとってはクッション性が低く、身体に負担がかかりやすいことが指摘されています。また土台をコンクリートで固めてその上に人工芝を敷き詰めているため、地面からの熱がそのまま空気中へと拡散するため、気温以上に暑さを感じることも考えられます。
試合中に筋けいれんを起こしてしまったとき、足がつってしまったときは、あわてずゆっくりと息を吐きながら足を伸ばしてストレッチを行うようにします。一人で行うことがむずかしい場合は誰かに手伝ってもらってパートナーストレッチを行いましょう。また筋肉を軽くさすったりほぐしたりすることや温めることも効果的です。
足がつった場合などの一時的な筋けいれんは局所の血流不足を改善させるために冷やすのではなく温める、固定ではなくより積極的に動かすことで、血流を増やすようにします。ただし、一時的な筋けいれんであってもこれが長く続いてしまうと筋肉の肉離れを起こす場合があります。ストレッチをしたり、温めてほぐしたりしても痛みが変わらない、痛みが増す場合はムリをせずに交代し、これ以上悪化させないようにRICE処置を行うようにしましょう。
文:西村 典子
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