疲労回復に欠かせないビタミンB1
ビタミンB1を多く含む玄米や豚肉などを意識してとるようにしよう
アスリートの皆さんは練習や試合などで身体的疲労が蓄積されたとき、メインの運動後に軽いジョギングやストレッチなどのクールダウンを行って疲労物質を体内からなるべく早く排出して、コンディションを整えるようにしていると思います。これに付け加えて食事などからとる栄養素でも疲労回復を促すようにしたいものですよね。疲労回復にはビタミンB1を含むものが良いと言われていますが、どのような働きがあり、何を積極的にとればいいでしょうか。
【ビタミンには水溶性のものと脂溶性のものがある】
ビタミンには水に溶ける水溶性ビタミン(ビタミンB、ビタミンCなど)と油に溶ける脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンDなど)があります。ビタミンB1は水溶性ビタミンであり、水に溶ける性質を持っているため、体内に長く貯めておくことができないという特徴があります。栄養ドリンクやビタミン剤を飲んだ後にトイレに行くといつもよりも尿の色が濃くなりますが、これは水溶性ビタミンであるビタミンB2が溶けて排出されるためです。身体に長くとどめておくことの出来ないビタミンB1は毎食ごとに摂りたい栄養素の一つであるといえるでしょう。
【ビタミンB1の働きと体脂肪との関係】
ビタミンB1がアスリートにとって特に大切であると言われているのは、食事などから摂取した糖質を体内でエネルギー源として使えるようにするための補酵素として働くことが挙げられます。身体を動かすエネルギー源をとるために糖質をたくさん摂取しても、ビタミンB1が不足すると糖質から十分なエネルギー源が得られず、身体はガス欠状態になりやすいと考えられます。この他にも糖質がエネルギーとして使われないことで、疲労物質の一つであるピルビン酸が体内にたまり、疲れやすいことも指摘されています。
さらに糖質のみが体内に余ってしまうことによって、糖質は体脂肪として変換され、蓄えられるようになります。ビタミンB1が極端に不足するとアスリートにとって「重り」である体脂肪が増えてしまうことにもつながります。
【食事からビタミンB1を摂取する】
運動量が多くなれば多くなるほど、消費するエネルギー源は増えるため、それに伴ってビタミンB1を多くとる必要があります(水溶性ビタミンの特徴として過剰分は尿と一緒に排出されるため、摂りすぎをさほど気にしなくても大丈夫です)。ビタミンB1を多く含む食材として一番に挙げられるのが豚肉です。お肉をとるのであれば牛肉や鶏肉よりも豚肉の方がビタミンB1の含有量は多いと覚えておきましょう。また玄米にもビタミンB1が多く含まれるので毎食のご飯に玄米を少しまぜて食べるようにしても良いですね。ご飯にはごまを振りかけたり、海苔を一緒にとるようにすると無理なくビタミンB1を摂取することが可能です。栄養バランスを考えながら疲労回復のためにビタミンB1も積極的に取るように心がけてみてくださいね。
文:西村 典子
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