栄養ドリンクが身体に及ぼす影響
脳が要求するエネルギー源を素早く補給することが疲労感をやわらげる
栄養ドリンクが身体に及ぼす影響
練習や試合が続いて身体が疲れたなと感じるとき、皆さんはどのようにしていますか?
筋疲労でいえば筋肉内にある疲労物質をより早く代謝させるために軽い運動を行ったり、血流をよくするために入浴したり、ストレッチをしたりといったことがまず挙げられると思います。中にはコンビニなどで手軽に購入できる栄養ドリンクを活用する選手がいるかもしれません。
栄養ドリンクは疲労回復をもたらすビタミンB群を含み、飲むと身体の疲れを軽減させることをうたっていますが、覚醒作用をもたらすカフェインの他にアルコールが含まれているものもあるので、飲む前に中身をよく確認することが大切です。
コーヒーや緑茶などにもカフェインは含まれますが、飲み物などからカフェインを摂取すると交感神経を刺激して心拍数を上げる作用をもたらします。栄養ドリンクを飲んで気分が高揚したり、やる気が高まったりする理由の一つにこうした心拍数の増加が挙げられます。一方で空腹時に栄養ドリンクを飲むと胃酸の分泌が促されて胃壁を荒し、胃痛を起こすことが考えられます。カフェインは現在ドーピング検査の対象外薬物になっていますが、薬物監視リストとして現在も注意喚起されており、過度に摂取すると不眠や頭痛、下痢、不安感やイライラ等、さまざまな副作用をもたらすことが懸念されます。
疲れたときに甘いものが欲しくなるのは、脳がすぐにエネルギー源として利用できる糖質を要求しているからなのですが、一般的な栄養ドリンク1本(100ml)には角砂糖にして5〜6個分(約14〜18g)の糖分が含まれているものもあり、1日の栄養摂取量から考えても糖分をとりすぎる傾向にあります。疲れたなと感じるときはバナナやおにぎり、パンなどの糖質を含む補食を上手に活用するとよいでしょう。
栄養ドリンクは飲むタイミングや頻度によって効果(覚醒作用と糖分補給)をもたらすこともありますが、心理面での安心感をもたらすプラセボ作用によるものも少なくないため、必要以上に頼るものではないことを覚えておきましょう。
文:西村 典子
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