今や球児が憧れる二塁手といえば、菊池涼介(武蔵工大二出身)だ。今年は二塁手として史上初の守備率10割を達成した。そんな菊池はグラブクラフトマンとのリモート対談を行った。菊池が語った内容はプレイヤーとしては必見の内容だった。テーマがぼやけないように、2回に分けて配信をしていきたい。まずは二塁守備で意識していることだ。

「非常にプレッシャーがありました。記録が迫ると、それは言うな、言うなという感じでしたね(笑)」
と無失策記録について振り返る菊池。今季、菊池の捕殺(菊池自身がゴロを処理してアウトにした数)はセ・リーグ1位の310。さらに天然芝で、グラウンドコンディションが一定ではないマツダスタジアムを本拠地において、無失策を叩き出したのは奇跡としかいいようがない。

 そんな菊池が意識していることは2つある。まずはスピードだ。
「セカンドは打ってから4秒以内に一塁手のミットに収まるように処理をしないといけません」
 当たり前だが、守備は捕って終わりではなく、捕ってから送球して、アウトになって、1つのプレーが完了する。だが、プロでは俊足打者も増え、左打者では3.8秒以内で駆け抜けてしまう走者もいる。

「僕の場合、3.7秒、3.6秒以内で想像、知識、経験を駆使してアウトにします。いえば3.5秒以内に投げなければアウトにならないんです」

 この秒数は常人では想像がつかないスピードで一瞬で終わる。その一瞬の間にポジショニング、一歩目の反応などを突き詰めていく。

「まずそのためには全体を見ることが大事になります。いわゆる視野を広げるという感じですね。
 投手を投げる球種、打者の癖、傾向を見ながら、守備位置、一歩目を意識する。それは一点集中ではなく、全体も見ることが大事になるんですよね。 後ろから見ることで視野が広がる。また、風を見ながら、『風強いな』と感じながら、今シーズンはそれができていました」

 菊池は一軍105試合を意識してやっていたのだ。さらに失策もできない緊張感とも戦いながら。

 そうした守備を実現するにはグラブも重要になる。菊池は自分の理想のフィット感がなければ、「使えない」という。使えないというのは、さらに解釈すると、一瞬の守備の間に、菊池はあらゆることを想定しながら、準備をする。その間に、少しでも違和感がある、雑念が入ってしまうといかがだろうか。守備に集中できるだろうか。

 これは野球における守備だけではなく、何事にも通用することだといえる。野球を仕事にして、守備をウリにする選手は、準備に対して全集中するために何も違和感を感じない「フィット感」が大事になるのだろう。それを知ることで、さらに奥深くプレーができるはずだ。

 続いては対談から見えた菊池のグラブのこだわりを紹介をしていきたい。

(記事=河嶋 宗一