きっかけは鈴木誠也選手 スタッドソールスパイク「JAPAN SPEED」の開発秘話 アシックスジャパン河本勇真さん
金具ではなく、樹脂性のスタッドがついたスパイク、「スタッドソールスパイク」が急速に人気を伸ばしている。アシックスのスタッドソールスパイク「JAPAN SPEED」は、広島東洋カープの鈴木誠也選手の要望から生まれ、現在では同チームの田中広輔選手や読売ジャイアンツの丸佳浩選手なども着用するほど広がりをみせている。
そんな今注目を集める「JAPAN SPEED」を開発したのが、アシックスジャパンの河本勇真さんだ。
河本さんはこれまで、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷 翔平選手や、広島東洋カープの鈴木 誠也選手、田中 広輔選手など、世界の第一線で活躍する一流選手のスパイクの開発に携わってきた。
今回は河本さんに、「JAPAN SPEED」の開発秘話やそのメリットについて熱く語っていただいた。
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鈴木選手の悩みから生まれたスタッドソールスパイク
「JAPAN SPEED」を持つアシックス開発者・河本勇真さん
「JAPAN SPEED」が生まれるきっかけとなったのは、広島東洋カープの鈴木誠也選手です。現場での会話がきっかけで生まれました。
鈴木選手にヒアリングしたところ、金具のスパイクシューズを履いていた一昨年前まで、夏場に差し掛かってくる度に疲れが出てくるということでした。
そこで「もう金具じゃなくていいんですよね」というお話があり、「金具ではないスパイクシューズをつくりましょう」ということになりました。
金具をなくすと痛みの元である突き上げも軽減し、重さも軽くなり疲労が溜まりにくいなど、様々な面でメリットがあります。
もちろん、金具がなくなることへの不安点も挙がりました。
長い間、金具を使用していたのは、グリップ力があるからです。金具は地面にすっと刺さるので、ストップが効いて蹴り出しの際に力が入ります。
当初はやはりグリップの面で不安な部分はありました。
「JAPAN SPEED」開発のきっかけとなった鈴木誠也選手(広島東洋カープ)
不安を無くしていくためにまず取り組んだのが、鈴木選手がプレーする時の足圧を計ることです。どこに力がかかっているかをアシックススポーツ工学研究所で計測し、その結果をもとにスタッドの配置を決めました。
次に、グリップ力が金具より劣ることは予想ができたので、その差を少なくすることに取り組みました。
何度も試行錯誤して、出来上がたのが現在の形です。
横方向の動きでグリップ力を高め、安定感を出すために外側を中心にスタッドを配置し、回転動作で力がかかる母趾球部は、それをサポートするスタッド配置にしました。
金具まではいかないまでも、もう少し「刺さり」が欲しいといったお話や、スタッドの細かい配置の話も含め、鈴木選手には、何度もテストさせていただきました。
こうして生まれたスタッドソールを他の選手にも勧めたところ、そこからどんどん広がりを見せています。
[page_break:練習と試合で分けるのもあり/高校生にも広まるスタッドソールスパイク]練習と試合で分けるのもあり
「JAPAN SPEED」を絶賛する丸佳浩選手(読売ジャイアンツ)
鈴木選手の要望から生まれたスタッドソールスパイク「JAPAN SPEED」は、そこから他の選手にもどんどん広がっていきました。
まずすごく気に入ってくださったのが、読売ジャイアンツの丸佳浩選手です。
手に取った瞬間、「高校生のスパイクもここまできましたか」とびっくりされていて、実際にスタッドソールスパイクを着用した「次の日の足への負担が金具と全然違う」ととても高い評価をいただきました。
これまでは足への負担を考えて、練習ではポイントスパイクを履いていたそうですが、外野からのバックホームの時に踏み込み足が滑っていたそうです。ですが「JAPAN SPEED」は金具に近いグリップ力があって、なおかつ足への負担の軽減も兼ね備えているので、本当にすごいと感動していただけました。
丸選手は、現在は練習のみで使用されていますが、今後は試合でも試したいと仰っていました。
また広島東洋カープの田中広輔選手も、「JAPAN SPEED」の愛用者の一人です。田中選手も今年の春季キャンプから打撃練習・守備練習などで「JAPAN SPEED」を使用していただいています。
キャンプは長いシーズンを戦うための土台作りなので、ここで足に負担をかけてはいけないと田中選手は考えられていて、足への負担を残さず毎日同じ体力でキャンプに臨めるというところを気に入っていただいています。
田中選手からも「高校生も、この足への負担が少ないスタッドスパイクを、練習で履いてみてほしい」と仰っていただいています。
高校生にも広まるスタッドソールスパイク
アシックスのスタッドソールスパイク「JAPAN SPEED」
実際に、高校生で使用していただいている選手も増えています。
すでに甲子園に出るような強豪校の中にも、試合で使用しているチームもありますし、練習と試合で履き分けている選手もいます。
またスタッドソールスパイクの存在を知っていて、「これ試してみたかったんですよ」という選手も多くいます。
価格的にも「もう一足」と考えた時に、それほど金額の張る商品ではありません。通常の試合用の金具スパイクはだいたい2万円くらいですが、「JAPAN SPEED」は9800円と、練習用にもう一足購入できるくらいの価格帯になっています。
鈴木選手のように練習と試合の両方で使用することもできますし、田中選手のように練習用としての使い方もできます。
高校球児の皆さんは、勝ち上がっていくために相当な体力が必要だと思います。常に100%の状態で試合に挑めるように、ぜひ、足への負担が少ないスパイクシューズを選んでほしいと思います。
(記事・編集部)
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