山形県米沢市に校舎を構える九里学園は、1901年創立の「山形の私学で最も古い」私立学校で、2021年には120周年を迎えた。野球部は2000年の創部で、今年で24年目となる。

 これまで甲子園出場実績はないものの、昨秋は県大会4強で21世紀枠の県推薦校に選出され、県内でも実績を評価されている。

 校舎から車で約10分の場所に野球部専用グラウンドを持つが、米沢市は県内有数の豪雪地帯として知られ、2月上旬の取材日も雪がぎっしりと積もっていた。

 チームを率いる髙橋 左和明監督は高校時代、仙台育英で主将を務め、ダイエー(現・ソフトバンク)で活躍し、現在は山口の早鞆(はやとも)高校で監督を務める大越 基投手らを擁し、1989年夏の甲子園で準優勝を果たした。

 実績十分な指揮官が率いる九里学園だが、選手の自主性を尊重し、取材日の練習でも髙橋監督が助言や指導を行う姿はなかった。

「いわゆるトップダウン的な雰囲気でやらないこと、ボトムアップで自分たちでやっている方が試合では強いよ、という話は常にしている」。

 髙橋監督は試合中の円陣にも参加しない。練習メニューも選手たちで足りない部分を出し合い、それを補う練習を組んで、短い時間でも「達成感のある練習にしてください」と伝えているだけだと話す。

 取材日の練習は午後4時開始の予定だったが、補講があり練習が始まったのは午後4時半過ぎ。電車の本数も限られており、帰宅の電車に合わせて午後6時には終了する。

 限られた中でも、密度の濃い充実した練習が行われていた。高校野球ドットコムのYouTubeでは、そんな九里学園の練習模様を紹介している。

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