昨年は「聖隷クリストファーの悲劇」、今年1枠増の東海枠に注目
聖隷クリストファーナイン ※写真は2021年の秋季東海大会より
いよいよ、センバツ出場校発表が近づいてきた。2023年第95回センバツ記念大会の出場校は36校で、27日に発表が予定されている。過去の出場校決定には数々のドラマが生まれ、球児が涙を流し、歓喜に沸いてきた。今年はどんなドラマが待っているのだろうか。94回の出場校発表にまつわる歴史をかいつまんで紹介したい。
今年は記念大会で東海地区一般枠で1枠増えることが決まっている。この東海地区は昨年、サプライズ選考により大きな議論が湧き上がった。
昨年秋の東海大会で優勝したのは日大三島、準優勝は聖隷クリストファー(ともに静岡)だった。東海地区からの一般枠は2で、例年、この決勝に進んだ2チームが選ばれてきたが、結果は日大三島と、その日大三島に準決勝で敗れた大垣日大(岐阜)が選考された。昨年の選考のなかで一番の衝撃だった。
決勝で大敗した場合は選考から外れる可能性はあるが、聖隷クリストファーは3対6と接戦を演じていた。静岡から2校選出されることも過去あった。聖隷クリストファーは粘り強い戦いで勝ち上がるなど、高校野球らしい戦いを見せるチームでもあった。岐阜大会で大垣日大を破って優勝した岐阜中京を東海大会で破っている。しかし、大垣日大に「逆転」される形となった。
高野連の選考委員会は選考理由として、大垣日大が「個々の力量で上回った」と説明した。チーム全員で粘り強く戦って勝利してきた聖隷クリストファーより、個人の技量、ポテンシャルで勝る大垣日大が選ばれた。
この選考に対して不満な意見が相次ぎ、聖隷クリストファーの出場を懇願する声も湧き上がった。33校目として出場できるように署名運動も行われたほどだった。高野連は、詳細の説明を差し控え、選考経過の説明について今後の検討材料にするというコメントを発表した。
今年の選考はどうなるのだろうか。昨年秋の東海大会では東邦(愛知)が優勝し、常葉大菊川(静岡)が準優勝した。今年は3枠となるため、通例的には決勝進出の2校に加え、4強に進んだ大垣日大(岐阜)と加藤学園(静岡)のどちらかが選出されると予想される。
準決勝で東邦に4対7で敗れた大垣日大か、常葉大菊川に0対2で敗れた加藤学園か。地域性を考慮するなら大垣日大だろうが、加藤学園は2020年のセンバツに選出されながら、新型コロナウイルスの影響でセンバツ大会が中止になる悲劇を味わっている。このときも前年の秋季東海大会で4強も、中京大中京(愛知)が前年の明治神宮大会で優勝し「神宮大会枠」の3校目として選出されていた。
思いも寄らない「サプライズ」が今年もあるのか。いずれにしても、今年の選考理由の説明に注目が集まる。