11月24日、明治神宮大会高校の部の決勝戦が開催され、大阪桐蔭が6対5で広陵を破り、史上初の2連覇となった。

 エースの前田 悠伍投手(2年)は4回を投げて、7奪三振、無失点の好リリーフであった。

 試合後の取材で注目が集まったのは前田の起用についてだ。なぜリリーフスタートとなったのか?

 西谷監督は中2日だったからリリーフ起用したと明かし、もし雨天中止にならず、中1日の決勝戦であれば、登板させない方針だったという。また、決勝戦でも4回終わって5点ビハインドであったが、このまま点差が離れるようであれば、登板させないつもりであった。

 理由としては以下の2点を挙げた。

・準決勝で161球を投げているから
・140キロ超えの速球投手も多いが、前田以外、全国レベルでの経験は乏しく、厳しい場面を経験させてあげたかった

 ただ、前田は投げるつもりだった。誰の指示もなく、ブルペンで投球練習を開始し、
「投げさせろという意思表示が出ていました」と西谷監督は笑う。そして前田も「そういう狙いもありました」と振り返る。

 逆転に成功し、6回からマウンドに登った前田は「振り出しに戻ったと思って、初回のつもりで投げた」と前回の仙台育英戦とは別人のような投球を展開する。最速143キロのストレート、スライダー、ツーシームを投げ分け、広陵打線を圧倒した。

 西谷監督は「前田が投げればある程度、ゲームが計算できる。しかし前田以外の投手はそう計算できる投手ではないので、苦しい試合運びになる。こうやって逆転できたのはチームとして1つ成長出来たと思います」と逆転勝ちした選手たちの働きを評価した。

 「冬は1から作り直したい」と意気込んだ前田。西谷監督は選手全員の個の力の成長を期待しつつも、前田と前田以外の投手陣に求める役割は変えているという。

 

 23年の大阪桐蔭は「前田」と「前田以外の投手陣」の成長物語がテーマとなりそうだ。

(記事=河嶋 宗一