News

取手二が県勢の歴史的快挙、球児新時代の幕開け【ふるさとの夏物語~昭和編】

2022.06.25

取手二が県勢の歴史的快挙、球児新時代の幕開け【ふるさとの夏物語~昭和編】 | 高校野球ドットコム

 2022年も高校球児の目標、夏の甲子園への道がスタートする。今年は「古豪」と言われるチームの復活が話題のひとつとなっているが、「昭和」の時代、1927年(昭2)13回大会から1988年(昭63)70回大会を駆け抜けた代表校を中心に夏の甲子園出場校を振り返る企画「ふるさとの夏物語~昭和編」。今回は茨城を紹介する。

 昭和時代に夏甲子園に出場したチームの出場回数上位ランキングは以下の通り。

1位 水戸商 6回 
2位 取手二 4回
3位 水戸一 3回
3位 取手一 3回

 1952年(昭27)水戸商豊田 泰光主将の元、甲子園に出場。初戦は突破したが2回戦で敗れている。豊田は選手宣誓を務めた。このときのプレーを評価されて豊田は西鉄(現・西武)入りし、野武士軍団の全盛期を支えた。豊田だけでなく、大久保 博元(元西武)、井川 慶(元阪神)などを輩出している水戸商が、茨城の昭和を代表するチームだろう。

 しかし、印象と歴史的1歩という観点でいえば、やはり取手二の全国優勝になる。のちに常総学院を率いて茨城の高校野球界のリーダー的存在にもなった木内 幸男監督がタクトを振るった取手二が、決勝で2年生だったあのKKコンビ擁するPL学園(大阪)を倒して、茨城県初の優勝を手にした。
 昭和の終盤、1984年(昭59)のことになる。弱いチームが強豪を次々となぎ倒していく作戦は「木内マジック」と呼ばれ、選手の長所を伸ばす「のびのび野球」が、昭和の時代の終わりに花開くことになるのは、時代の流れだったのだろうか。

 初戦(2回戦)から衝撃的だった。箕島(和歌山)に0対3でリードされていた8回に一気に5点を奪って逆転勝利をつかむ。春夏連覇を達成した昭和を代表する超強豪を電光石火の攻撃で打ち破った。3回戦も福岡大大濠に逆転勝ち。準々決勝で鹿児島商工(現・樟南)に前半からリードを奪って快勝すると、準決勝の鎮西(熊本)との打撃戦で16安打18得点で圧勝する。試合ごとに強くなり、自分たちの力以上のものを出していく。そんな戦いぶりでもあった。

 決勝ではPL学園に延長10回激闘の末に勝利した。8回、9回と得点され、じわじわと追いつかれての延長戦。気持ちで負けてしまう可能性がある試合展開にも関わらず、10回表に4点を入れて勝ちきった。まさに新時代の幕開けを予感させる球児の戦いだったともいえる。

 茨城県初代表は竜ヶ崎中(現・竜ヶ崎一)で、初勝利は1933年(昭8)の水戸商。最高成績は1984年(昭59)取手二、2003年(平15)常総学院の優勝。茨城県勢の通算成績は53勝65敗で、勝利数の都道府県ランキングは31位タイ。

★茨城県勢の代表回数上位ランキング
1位 常総学院 16回  
2位 水戸商 10回 
3位 竜ヶ崎一 9回 
 
4位 取手二 4回
4位 土浦日大 4回

★茨城県勢の甲子園勝利数上位ランキング(複数勝利以上)
1位 常総学院 28勝(優勝1回、準優勝1回、4強1回、8強3回) 
2位 水戸商 9勝(8強1回)
3位 取手二 6勝(優勝1回) 
4位 竜ヶ崎一 3勝

[page_break:茨城の夏甲子園出場校一覧]

【茨城の夏甲子園出場校一覧】
1回 1915(大4) ー
2回 1916(大5) ー
3回 1917(大6) ー
4回 1918(大7) 竜ケ崎中
5回 1919(大8) 竜ケ崎中
6回 1920(大9) 竜ケ崎中
7回 1921(大10) 竜ケ崎中
8回 1922(大11) 竜ケ崎中
9回 1923(大12) ー
10回 1924(大13) ー
11回 1925(大14) ー
12回 1926(大15) ー
13回 1927(昭2) 茨城商
14回 1928(昭3) ー
15回 1929(昭4) 水戸中
16回 1930(昭5) 水戸中
17回 1931(昭6) ー
18回 1932(昭7) ー
19回 1933(昭8) 水戸商
20回 1934(昭9) ー
21回 1935(昭10) ー
22回 1936(昭11) ー
23回 1937(昭12) ー
24回 1938(昭13) ー
25回 1939(昭14) ー
26回 1940(昭15) ー
27回 1941(昭16) 戦争のため中止
   1942(昭17) 戦争のため中止
   1943(昭18) 戦争のため中止
   1944(昭19) 戦争のため中止
   1945(昭20) 戦争のため中止
28回 1946(昭21) ー
29回 1947(昭22) ー
30回 1948(昭23) ー
31回 1949(昭24) 水戸商
32回 1950(昭25) ー
33回 1951(昭26) ー
34回 1952(昭27) 水戸商
35回 1953(昭28) ー
36回 1954(昭29) 水戸一
37回 1955(昭30) ー
38回 1956(昭31) ー
39回 1957(昭32) 土浦一
40回 1958(昭33) 水戸商
41回 1959(昭34) 下館一
42回 1960(昭35) 水戸商
43回 1961(昭36) ー
44回 1962(昭37) ー
45回 1963(昭38) 水戸工
46回 1964(昭39) ー
47回 1965(昭40) ー
48回 1966(昭41) 竜ヶ崎一
49回 1967(昭42) ー
50回 1968(昭43) 取手一
51回 1969(昭44) 取手一
52回 1970(昭45) ー
53回 1971(昭46) ー
54回 1972(昭47) ー
55回 1973(昭48) 取手一
56回 1974(昭49) 土浦日大
57回 1975(昭50) 竜ヶ崎一
58回 1976(昭51) 鉾田一
59回 1977(昭52) 取手二
60回 1978(昭53) 取手二
61回 1979(昭54) 明野
62回 1980(昭55) 江戸川学園
63回 1981(昭56) 取手二
64回 1982(昭57) 鉾田一
65回 1983(昭58) 茨城東
66回 1984(昭59) 取手二
67回 1985(昭60) 日立一
68回 1986(昭61) 土浦日大
69回 1987(昭62) 常総学院
70回 1988(昭63) 常総学院
71回 1989(平1) 常総学院
72回 1990(平2) 竜ヶ崎一
73回 1991(平3) 竜ヶ崎一
74回 1992(平4) 常総学院
75回 1993(平5) 常総学院
76回 1994(平6) 水戸商
77回 1995(平7) 水戸商
78回 1996(平8) 水戸短大付
79回 1997(平9) 茨城東
80回 1998(平10) 常総学院
81回 1999(平11) 水戸商
82回 2000(平12) 水戸商
83回 2001(平13) 常総学院
84回 2002(平14) 常総学院
85回 2003(平15) 常総学院
86回 2004(平16) 下妻二
87回 2005(平17) 藤代
88回 2006(平18) 常総学院
89回 2007(平19) 常総学院
90回 2008(平20) 常総学院
91回 2009(平21) 常総学院
92回 2010(平22) 水城
93回 2011(平23) 藤代
94回 2012(平24) 常総学院
95回 2013(平25) 常総学院
96回 2014(平26) 藤代
97回 2015(平27) 霞ヶ浦
98回 2016(平28) 常総学院
99回 2017(平29) 土浦日大
100回 2018(平30)土浦日大
101回 2019(平31)霞ヶ浦
102回 2020(令2)(コロナで中止)
103回 2021(令3) 鹿島学園

※竜ケ崎中=現・[team]竜ケ崎一
 茨城商=現・[team]水戸商
 水戸中=現・[team]水戸一
 水戸短大付=現・水戸啓明

(文=

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.22

【埼玉】花咲徳栄は伊奈学園と、昌平は正智深谷と初戦で対戦<春季県大会組み合わせ>

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】日本福祉大附が4点差をはね返して中部大一に逆転勝ち、ベスト8に進出

2024.04.22

【仙台六大学】東北高で4番を打った1年生・佐藤玲磨が決めた!東北工業大が“サヨナラ返し”

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.17

仙台育英に”強気の”完投勝利したサウスポーに強力ライバル現る! 「心の緩みがあった」秋の悔しさでチーム内競争激化!【野球部訪問・東陵編②】

2024.04.21

【神奈川春季大会】慶応義塾が快勝でベスト8入り! 敗れた川崎総合科学も創部初シード権獲得で実りのある春に

2024.04.22

【埼玉】花咲徳栄は伊奈学園と、昌平は正智深谷と初戦で対戦<春季県大会組み合わせ>

2024.04.17

【兵庫】20日にセンバツ準優勝の報徳学園が春初戦!夏の第1シード、第2シードも出揃う予定!

2024.04.17

青森大にソフトバンク2選手の弟、青森山田の4番打者、横浜創学館大型外野手らが加入!

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!