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小倉、小倉工、福岡工が全盛期 原貢監督の三池工は初出場初V【ふるさとの夏物語~昭和編】

2022.06.21

小倉、小倉工、福岡工が全盛期 原貢監督の三池工は初出場初V【ふるさとの夏物語~昭和編】 | 高校野球ドットコム
小倉高のユニホーム

 2022年も高校球児の目標、夏の甲子園への道がスタートする。今年は「古豪」と言われるチームの復活が話題のひとつとなっているが、「昭和」の時代、1927年(昭2)13回大会から1988年(昭63)70回大会を駆け抜けた代表校を中心に夏の甲子園出場校を振り返る企画「ふるさとの夏物語~昭和編」。今回は福岡を紹介する。

 昭和時代に夏甲子園に出場したチームの出場回数上位ランキングは以下の通り。

1位 小倉 9回 
2位 小倉工 8回
3位 福岡工 4回
3位 戸畑 4回
3位 東筑 4回 

 

 福岡の昭和の歴史をひも解くと、時代を担った高校、快進撃した高校、話題を振りまいた高校が登場する。時代を追って振り返ってみる。

 

 昭和の時代が始まったころは小倉工福岡工が全盛期を迎える。1930年(昭5)から1936年(昭11)までは出場5校すべてが小倉工で、翌年から福岡工が4年連続で甲子園に出場している。戦後になると小倉が台頭する。1947年(昭22)から、福岡県勢で唯一となる夏連覇を果たした。エースは福嶋 一雄投手で、連覇した1948年(昭23)には全5試合完封を達成。連続45イニング無失点の記録を持っている。3連覇を狙った1949年(昭24)、準々決勝で敗れた福嶋が球場を引き揚げる際に、ネット裏付近に立ち止まりスコアボードを見つめると甲子園の土をポケットに収めた。所説あるが「甲子園の土を最初に持ち帰った球児」として取り上げられることになる。小倉の全盛期が始まり、戸畑など北九州の公立校が強い時代が続いた。

 その小倉以来となる夏甲子園頂点に立ったのは新星のごとく現れた三池工だった。1965年(昭40)。石炭から石油へのエネルギー革命が起き、時代の流れに押しつぶされそうになっていた炭鉱の町にとっては明るいニュースだった。巨人・原辰徳監督の父、原貢監督のもと初出場初優勝。2年生エースだった上田 卓三投手は南海(現・ソフトバンク)ドラフト1位、捕手だった穴見寛氏は東海大五(現・東海大福岡)監督としても甲子園に出場している。

 話題を振りまいたのは筑後地区の私立、柳川商(現・柳川)だった。1973年(昭48)に「怪物」と呼ばれた江川 卓投手(元巨人)擁する作新学院に、敗れたものの延長戦に持ち込む善戦を見せる。福田精一監督が「プッシュ打法」で江川から7安打を放ったり、サヨナラ負けのピンチでスクイズ封じのために、センターを三塁手の前に守らせる「内野5人シフト」を敢行。結果的に投ゴロ併殺で切り抜けるなどの奇策で有名になった。さらに1976年(昭51)には久保 康生投手(元近鉄)を擁して春に36連勝を誇るなど強さを見せて優勝候補として夏に挑んだ。3回戦でPL学園(大阪)に敗れるが、全国の頂点が見えたチームだった。ちなみにこの時、マスクをかぶっていた末次 秀樹捕手(現・真颯館監督)は甲子園2試合全8打席連続安打の金字塔を打ち立てている。

 1983年(昭58)には久留米商がエース山田 武史投手を擁して4強。昭和最後となった1988年(昭63)には福岡第一が「九州のバース」の異名をとった山之内 健一内野手と、のちにロッテ、中日などで活躍する前田 幸長投手が中心となり準優勝に輝いた。

福岡県初代表は第1回大会の久留米商。初勝利は1919年(大8)の小倉中(現・小倉)。最高成績は小倉三池工西日本短大附の優勝。福岡県勢の通算成績は92勝87敗、勝利数の都道府県ランキングは12位。

★福岡県勢の代表回数上位ランキング
1位 小倉 10回  
2位 柳川 8回 
2位 小倉工 8回  
4位 九州国際大付 7回
5位 西日本短大附 6回
5位 東筑 6回

★福岡県勢の甲子園勝利数上位ランキング(複数勝利以上)
1位 小倉 15勝(優勝2回、4強1回、8強1回)
2位 柳川 10勝(8強2回)
3位 西日本短大附 9勝(優勝1回、4強1回)
3位 久留米商 9勝(準優勝1回、4強1回) 
5位 小倉工 8勝(4強2回)

[page_break:福岡の夏甲子園出場校一覧]

【福岡の夏甲子園出場校一覧】
1回 1915(大4) 久留米商
2回 1916(大5) 中学明善
3回 1917(大6) ―
4回 1918(大7) 中学明善
5回 1919(大8) 小倉中
6回 1920(大9) 豊国中
7回 1921(大10) 豊国中
8回 1922(大11) ―
9回 1923(大12) ―
10回 1924(大13) ―
11回 1925(大14) ―
12回 1926(大15) ―
13回 1927(昭2) ―
14回 1928(昭3) ―
15回 1929(昭4) ―
16回 1930(昭5) 小倉工
17回 1931(昭6) 小倉工
18回 1932(昭7) 小倉工
19回 1933(昭8) ―
20回 1934(昭9) 小倉工
21回 1935(昭10) ―
22回 1936(昭11) 小倉工
23回 1937(昭12) 福岡工
24回 1938(昭13) 福岡工
25回 1939(昭14) 福岡工
26回 1940(昭15) 福岡工
27回 1941(昭16) 戦争のため中止
   1942(昭17) 戦争のため中止
   1943(昭18) 戦争のため中止
   1944(昭19) 戦争のため中止
   1945(昭20) 戦争のため中止
28回 1946(昭21) 小倉中
29回 1947(昭22) 小倉中
30回 1948(昭23) 小倉
31回 1949(昭24) 小倉北
32回 1950(昭25) 小倉
33回 1951(昭26) 小倉
34回 1952(昭27) 三池
35回 1953(昭28) 東筑
36回 1954(昭29) 小倉
37回 1955(昭30) 小倉
38回 1956(昭31) 小倉
39回 1957(昭32) 戸畑
40回 1958(昭33) 八女
41回 1959(昭34) 戸畑
42回 1960(昭35) 戸畑
43回 1961(昭36) 戸畑
44回 1962(昭37) 久留米商
45回 1963(昭38) 柳川商
46回 1964(昭39) 小倉工
47回 1965(昭40) 三池工
48回 1966(昭41) 小倉工
49回 1967(昭42) 小倉工
50回 1968(昭43) 飯塚商
51回 1969(昭44) 飯塚商
52回 1970(昭45) 九州工
53回 1971(昭46) 筑紫工
54回 1972(昭47) 東筑
55回 1973(昭48) 柳川商
56回 1974(昭49) 福岡第一
57回 1975(昭50) 小倉南
58回 1976(昭51) 柳川商
59回 1977(昭52) 九州産
60回 1978(昭53) 東筑
61回 1979(昭54) 八幡大付
62回 1980(昭55) 田川
63回 1981(昭56) 福岡大大濠
64回 1982(昭57) 八幡大付
65回 1983(昭58) 久留米商
66回 1984(昭59) 福岡大大濠
67回 1985(昭60) 久留米商
68回 1986(昭61) 西日本短大附
69回 1987(昭62) 東筑
70回 1988(昭63) 福岡第一
71回 1989(平1) 福岡大大濠
72回 1990(平2) 西日本短大附
73回 1991(平3) 柳川
74回 1992(平4) 西日本短大附
75回 1993(平5) 東福岡
76回 1994(平6) 九州工
77回 1995(平7) 柳川
78回 1996(平8) 東筑
79回 1997(平9) 福岡工大付
80回 1998(平10) 東福岡
81回 1999(平11) 東福岡
82回 2000(平12) 柳川
83回 2001(平13) 九産大九州
84回 2002(平14) 柳川
85回 2003(平15) 筑陽学園
86回 2004(平16) 西日本短大附
87回 2005(平17) 柳川
88回 2006(平18) 福岡工大城東
89回 2007(平19) 東福岡
90回 2008(平20) 飯塚
91回 2009(平21) 九州国際大付
92回 2010(平22) 西日本短大附
93回 2011(平23) 九州国際大付
94回 2012(平24) 飯塚
95回 2013(平25) 自由ケ丘
96回 2014(平26) 九州国際大付
97回 2015(平27) 九州国際大付
98回 2016(平28) 九州国際大付
99回 2017(平29) 東筑
100回 2018(平30)折尾愛真
       沖学園
101回 2019(平31)筑陽学園
102回 2020(令2)(コロナで中止)
103回 2021(令3) 西日本短大附

※中学明善=現・明善
 小倉中、小倉北=現・小倉
 豊国中=現・豊国学園
 柳川商=現・柳川
 九州工=現・真颯館
 筑紫工=現・筑紫台
 八幡大付=現・九州国際大付
 福岡工大付=現・福岡工大城東

(文=

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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