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時代を先取りしていた津久見、堅実野球の大分商が昭和をリード【ふるさとの夏物語~昭和編】

2022.06.05

時代を先取りしていた津久見、堅実野球の大分商が昭和をリード【ふるさとの夏物語~昭和編】 | 高校野球ドットコム
大分商のユニホーム

 2022年も高校球児の目標、夏の甲子園への道がスタートする。今年は「古豪」と言われるチームの復活が話題のひとつとなっているが、「昭和」の時代、1927年(昭2)13回大会から1988年(昭63)70回大会を駆け抜けた代表校を中心に夏の甲子園出場校を振り返る企画「ふるさとの夏物語~昭和編」。今回は大分を紹介する。

 昭和時代に夏甲子園に出場したチームの出場回数上位ランキングは以下の通り。

1位 大分商 12回 
1位 津久見 12回
3位 臼杵 2回
3位 別府鶴見丘 2回
3位 日田林工 2回
3位 佐伯鶴城 2回
3位 柳ヶ浦 2回

 大分といえば、やはりこの上位2チーム、津久見大分商の名前が挙がる。津久見は1972年(昭47)に全国優勝、大分商も4度8強に輝いている。昭和の時代に「ライバル」だったこの2校。実は対照的だったともいえる。

 大分商は高校野球の古豪らしく、守り重視で組織だったチームづくりの伝統を持つ。投手を中心として細かいプレーを駆使し、勝利をもぎとってきた。

 津久見はある意味、正反対だったかもしれない。夏の優勝の前にも、1967年(昭42)にセンバツで優勝しているが、ともに指揮した小島 仁八郎監督が、独自の路線を貫いていた。練習時間は2、3時間程度。個々を重視し「長所を伸ばす」ことが中心だったという。サインもほとんどなく、スクイズも1度試みて失敗して以降、サインはでなかった。高校生を「大人あつかい」して押さえつけることなく将来をみすえた指導方法。まさに時代を先取りしていた。

 優勝した甲子園の戦いを振り返っても、初戦が鹿児島商に9回サヨナラ勝ち。2回戦の苫小牧工(南北海道)相手に17安打を放ち13対1で圧勝したと思えば、準々決勝の明星(大阪)には1対0の9回サヨナラ勝ち、準決勝で天理(奈良)に5対3で逆転勝ち、決勝の柳井(山口)相手には5安打3得点で堅実に勝利した。戦い方は実にバラエティーに富んでいた。型にはめない、選手の自主性に任せた指導が結実したのかもしれない。

 2年前の夏の独自大会では県で優勝を果たした津久見。昭和の最後、1988年(昭63)に春夏甲子園に出場して以来、甲子園から遠ざかっている。

 大分県勢の夏甲子園初出場は大分商。初勝利も大分商だった。最高成績は津久見の優勝。大分県勢の夏甲子園通算成績は58勝71敗で、都道府県勝利数ランキングは29位。

★大分県勢の代表回数上位ランキング(複数回以上)
1位 大分商 15回
2位 津久見 12回
3位 柳ヶ浦 8回
4位 明豊 7回
5位 日田林工 4回

★大分県勢の甲子園勝利数上位ランキング
1位 津久見 16勝(優勝1回、8強4回) 
2位 大分商 12勝(8強4回)
3位 明豊  9勝(8強3回)
4位 柳ヶ浦 7勝(4強1回)
5位 日田林工 4勝

[page_break:大分の夏甲子園出場校一覧]

【大分の夏甲子園出場校一覧】
1回 1915(大4) ―
2回 1916(大5) ―
3回 1917(大6) ―
4回 1918(大7) ―
5回 1919(大8) ―
6回 1920(大9) ―
7回 1921(大10) ―
8回 1922(大11) ―
9回 1923(大12) ―
10回 1924(大13) ―
11回 1925(大14) ―
12回 1926(大15) ―
13回 1927(昭2) ―
14回 1928(昭3) ―
15回 1929(昭4) ―
16回 1930(昭5) ―
17回 1931(昭6) 大分商
18回 1932(昭7) ―
19回 1933(昭8) 大分商
20回 1934(昭9) ―
21回 1935(昭10) 大分商
22回 1936(昭11) ―
23回 1937(昭12) ―
24回 1938(昭13) 大分商
25回 1939(昭14) ―
26回 1940(昭15) 大分商
27回 1941(昭16) 戦争のため中止
   1942(昭17) 戦争のため中止
   1943(昭18) 戦争のため中止
   1944(昭19) 戦争のため中止
   1945(昭20) 戦争のため中止
28回 1946(昭21) ―
29回 1947(昭22) 臼杵中
30回 1948(昭23) 大分二
31回 1949(昭24) 臼杵
32回 1950(昭25) 別府一
33回 1951(昭26) 大分城崎
34回 1952(昭27) 津久見
35回 1953(昭28) ―
36回 1954(昭29) ―
37回 1955(昭30) 津久見
38回 1956(昭31) 別府鶴見丘
39回 1957(昭32) ―
40回 1958(昭33) 大分上野丘
41回 1959(昭34) ―
42回 1960(昭35) ―
43回 1961(昭36) 高田
44回 1962(昭37) 大分商
45回 1963(昭38) 津久見
46回 1964(昭39) ―
47回 1965(昭40) 津久見
48回 1966(昭41) 津久見
49回 1967(昭42) 大分商
50回 1968(昭43) 津久見
51回 1969(昭44) 大分商
52回 1970(昭45) 大分商
53回 1971(昭46) 鶴崎工
54回 1972(昭47) 津久見
55回 1973(昭48) 日田林工
56回 1974(昭49) 佐伯鶴城
57回 1975(昭50) ―
58回 1976(昭51) 柳ヶ浦
59回 1977(昭52) 津久見
60回 1978(昭53) 日田林工
61回 1979(昭54) 大分商
62回 1980(昭55) 大分商
63回 1981(昭56) 津久見
64回 1982(昭57) 津久見
65回 1983(昭58) 中津工
66回 1984(昭59) 別府商
67回 1985(昭60) 津久見
68回 1986(昭61) 佐伯鶴城
69回 1987(昭62) 柳ヶ浦
70回 1988(昭63) 津久見
71回 1989(平1) 鶴崎工
72回 1990(平2) 藤蔭
73回 1991(平3) 柳ヶ浦
74回 1992(平4) 柳ヶ浦
75回 1993(平5) 大分工
76回 1994(平6) 柳ヶ浦
77回 1995(平7) 日田
78回 1996(平8) 佐伯鶴城
79回 1997(平9) 大分商
80回 1998(平10) 柳ヶ浦
81回 1999(平11) 日田林工
82回 2000(平12) 中津工
83回 2001(平13) 明豊
84回 2002(平14) 柳ヶ浦
85回 2003(平15) 柳ヶ浦
86回 2004(平16) 明豊
87回 2005(平17) 別府青山
88回 2006(平18) 鶴崎工
89回 2007(平19) 楊志館
90回 2008(平20) 日田林工
91回 2009(平21) 明豊
92回 2010(平22) 大分工
93回 2011(平23) 明豊
94回 2012(平24) 杵築
95回 2013(平25) 大分商
96回 2014(平26) 大分
97回 2015(平27) 明豊
98回 2016(平28) 大分
99回 2017(平29) 明豊
100回 2018(平30)藤蔭
101回 2019(平31)藤蔭
102回 2020(令2)(コロナで中止)
103回 2021(令3) 明豊

大分城崎=現・大分商
 大分二=現・大分工
 臼杵中=現・臼杵
 別府一=現・別府鶴見丘
 中津工=現・中津東
 別府商別府青山=現・別府翔青

(文=浦田由紀夫

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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