元オリックス・前田祐二氏が身体能力測定会を主催 結果はNPBスカウトの元へ
3月31日、福岡市西区の西部運動公園野球場にて、元オリックス・バファローズの前田祐二氏が主催する「身体能力測定会&データスカウティング」が行われた。このイベントは、ZETT社による身体能力測定、ラプソードでの投球・打球分析を行い、計測データはNPBスカウトや海外のスカウトへ提供される予定で、昨今のコロナ禍でアピールする場所が減っている選手でも、スカウトへ自らの存在を示すことができるというものだ。
前田氏はアピールの場が失われた選手に、上のステージで野球を続けるチャンスを作りたかったと開催の意図を熱く語る。
「コロナウイルスが感染拡大して、一番最初に緊急事態宣言が出された時、アピールの場が失われてSNSに動画を上げる選手をよく目にしていました。こうした選手たちに直接スカウトの目に届く機会を与えたいと思いましたし、またスカウトの方にとっても選手を見れる場がなくなっていたと思います。両方にとって、良い取り組みになるのではないかと考えました」
イベントは高校新2年生以上を対象に行われ、この日は12名の選手が参加。天候はあいにくの雨で午前中は屋内でZETT社の身体能力測定を行ったが、雨の止んだ午後からはグラウンドにて測定した。
ゼット社は筋力や柔軟性、スピードにパワーなど様々な角度から22項目に及ぶ体力測定を30年以上にわたって行っており、球児たちを体力面からもサポートしている。
またラプソードは球速だけでなく、回転軸や回転数など、スピードだけではわからないボールの質を数値化できる機器で、他にもボールの変化量やリリース時のボールの発射角度、リリースの高さなどあらゆる数値を測定できる。投球だけでなく打撃用もあり、打球速度、打球角度、推定飛距離、そして打球軌道も3Dで可視化し、スイング動作の動画も撮影することができる。
ゼット社の体力測定とラプソードによる投球・打球分析で、選手の能力を具体的に数値化し、今後の成長にも生かしてほしいという思いが前田氏にはあったという。選手たちは持てる力を存分に出そうと、真剣な眼差しで測定に臨んだ。
今回の測定イベントに参加するため、北海道から来福した室蘭工大の佐藤悠津樹投手(4年)は、ラプソードで回転数の高い球を投げ込み自身をアピール。コロナ禍で1年秋を最後にリーグ戦への参加ができておらず、アピールの機会を求めて参加したといい、計測結果を今後の練習に繋げていくことを誓った。
「自分の長所や短所をしっかり把握できてなかったので、それが可視化できる良い機会でした。ラプソードで計測したのも今回が初めてでしたが、結果をこれからに生かせるなと思ったので頑張っていきたいと思います」
イベント後、前田氏は「能力を数値化することができ、参加してよかったと多くの選手が感じてくれていたようです。自分の特徴や課題が可視化できて、彼らにとって良い機会だった」と語り、次回の開催にも意欲を見せた。