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桐蔭ら古豪の伝統は箕島から智辯和歌山へ センバツ戦績からみる和歌山勢の勢力図

2022.02.28

桐蔭ら古豪の伝統は箕島から智辯和歌山へ センバツ戦績からみる和歌山勢の勢力図 | 高校野球ドットコム
黒川史陽(智辯和歌山)

 2022年第94回選抜高校野球大会([stadium]阪神甲子園球場[/stadium])に出場する32校が決定した。今年の高校野球界がこのセンバツからスタートすることになる。

 1924(大正13)年から開催された大会は今年で94回目。過去、選抜されたチームの歴史を全国47都道府県別に振り返ってみる。

 今回は和歌山。今センバツには和歌山東が初出場、市立和歌山が2年連続8回目の出場を決めた。和歌山東は昨年の秋の県大会こそ準優勝だったが、近畿大会で見事に準優勝して初のセンバツを勝ち取った。市立和歌山は昨年の秋に県大会を制すると、近畿大会で1勝してベスト8入り。投手力を評価されて選出された。

過去、和歌山でのセンバツの出場回数上位ランキングは以下の通り。

<和歌山センバツ出場回数上位ランキング>
1位 桐蔭    16回
2位 海南    15回
2位 向陽    15回
4位 智辯和歌山 14回
5位 箕島    9回

 和歌山県勢のセンバツ初出場は、第1回(1924年)大会の和歌山中(現・桐蔭)。以後、県内トップの16回の出場を重ねてきた。2位の海南は海南中時代の第10回(1933年)大会に初出場、同じく2位の向陽は海草中だった第6回(1929年)大会に初出場。出場回数上位3チームはいずれも古豪だが、2000年代に入ってからは智辯和歌山が出場回数を伸ばしている。

<和歌山21世紀枠出場校と結果>
2010年 向陽(2回戦)
2014年 海南
2015年 桐蔭

 和歌山県勢の21世紀枠での出場は3校。名門校で清掃活動など地域とのつながりが評価されて選出された向陽は、初戦で開星(島根)に2対1で勝利。2回戦では日大三(東京)に敗れたが1対3の接戦だった。伝統校で恵まれない練習環境を克服して選出された海南は初戦で池田(徳島)に9回サヨナラ負けの3対4の惜敗。高校野球100年節目の年に第1回大会出場の古豪として選出された桐蔭だったが、初戦では今治西(愛媛)に7対11で敗れた。

 センバツの勝利数上位ランキングは以下の通り。
1位 智辯和歌山 27勝(優勝1回、準優勝3回、8強4回)
2位 箕島    24勝(優勝3回、4強2回、8強2回)
3位 桐蔭    13勝(優勝1回、準優勝1回、4強2回、8強4回)
4位 海南    11勝(4強2回、8強2回)
5位 市立和歌山 9勝(準優勝1回、8強2回)

 和歌山県勢のセンバツ初勝利は、第3回(1926年)大会の和歌山中。初戦で松山商(愛媛)を8対6で下した。和歌山県勢の最高成績は優勝で、和歌山中が1回、箕島が3回、智辯和歌山が1回マークしている。

 和歌山県勢初優勝は和歌山中。戦前の第4回(1927年)大会、エース小川 正太郎投手の活躍で関西学院中(現・関西学院=兵庫)、松山商(愛媛)、広陵中(現・広陵=広島)を破って頂点に立った。

 1970年代に黄金期を迎えたのは箕島だった。1966年に尾藤公監督が就任し、第42回(1970年)大会で初優勝すると、第49回(1977年)大会、第51回(1979年)大会と10年で3度優勝した。

第51回大会=箕島
2回戦:10-4 下関商(山口)
準々決勝:5-1 倉吉北(鳥取)
準決勝:4-3 PL学園(大阪)=延長10回
決勝:8-7 浪商(現・大体大浪商=大阪)

 1979年は箕島の黄金期を代表する年だった。下手投げエース石井 毅投手(元西武)と嶋田 宗彦捕手(元阪神)のバッテリーを擁して、競り合いに強いチームを形成していた。この年も準決勝で9回2点差を追いつき10回サヨナラ勝ち。決勝は、牛島 和彦投手(元中日、ロッテ)ー香川 伸行捕手(元南海など)のバッテリーを擁した浪商と大接戦を演じ、センバツ史上にも残るシーソーゲームで優勝した。この年の夏に星稜(石川)と伝説の延長18回サヨナラゲームを演じ、春夏連続優勝を成し遂げている。

第66回大会=智辯和歌山
1回戦:8-4 秋田(秋田)
2回戦:10-2 横浜(神奈川)
準々決勝:6-5 宇和島東(愛媛)=延長10回
準決勝:5-4 PL学園(大阪)
決勝:7-5 常総学院(茨城)

 名将・高嶋仁監督率いる智辯和歌山は57回(1985年)大会に初出場も、夏も含めて初戦5連敗と苦しんでいたが、1993年夏に初勝利を挙げて、1994年のセンバツに挑んでいた。タレント軍団の横浜、優勝候補の宇和島東を破るなどベスト4に進むと、現中日の福留 孝介外野手が2年生だったPL学園に競り勝ち、決勝では常総学院を率いる木内幸男監督との対決となったが、打ち合いを制して見事初優勝。高嶋監督の名将伝説のスタートでもあった。

 和歌山県勢のセンバツの通算成績は104勝106敗。都道府県別勝利数ランキングは5位。2018年から和歌山県勢出場4校は初戦負けがない。今センバツ出場の和歌山東に初陣白星が訪れるか。ここ2大会連続で初戦突破の市立和歌山は2019年の8強を超えられるか。

[page_break:和歌山のセンバツ出場校一覧]

【和歌山のセンバツ出場校一覧】

大会 年度    出場校
1回 1924(大13) 和歌山中
2回 1925(大14) 和歌山中
3回 1926(大15) 和歌山中
4回 1927(昭2) 和歌山中
5回 1928(昭3) 和歌山中
6回 1929(昭4) 海草中
          和歌山中
7回 1930(昭5) 和歌山中
8回 1931(昭6) 海草中
          和歌山中
9回 1932(昭7) 海草中
          和歌山中
10回 1933(昭8) 海南中
          海草中
          和歌山商
          和歌山中
11回 1934(昭9) 海南中
          和歌山中
12回 1935(昭10) 海南中
           海草中
13回 1936(昭11) 和歌山中
14回 1937(昭12) 和歌山商
15回 1938(昭13) 海南中
           海草中
16回 1939(昭14) 海南中
           海草中
17回 1940(昭15) 海南中
           海草中
18回 1941(昭16) 海南中
           海草中
1942(昭17)戦争のため中止
1943(昭18)戦争のため中止
1944(昭19)戦争のため中止
1945(昭20)戦争のため中止
1946(昭21)戦争のため中止
19回 1947(昭22) 田辺中
           海草中
           和歌山中
20回 1948(昭23) 田辺中
21回 1949(昭24) 海南
           桐蔭
22回 1950(昭25) 海南
23回 1951(昭26) 新宮
24回 1952(昭27) 海南
25回 1953(昭28) ―
26回 1954(昭29) 新宮
27回 1955(昭30) ―
28回 1956(昭31) 日高
29回 1957(昭32) 新宮
30回 1958(昭33) 和歌山工
           海南
31回 1959(昭34) ―
32回 1960(昭35) 海南
33回 1961(昭36) 御坊商工
34回 1962(昭37) 桐蔭
35回 1963(昭38) 南部
           海南
36回 1964(昭39) 市立和歌山商
           海南
37回 1965(昭40) 向陽
           市立和歌山商
38回 1966(昭41) 高野山
39回 1967(昭42) 市立和歌山商
40回 1968(昭43) 星林
           箕島
41回 1969(昭44) 向陽
42回 1970(昭45) 箕島
43回 1971(昭46) ―
44回 1972(昭47) 箕島
45回 1973(昭48) 向陽
           和歌山工
46回 1974(昭49) 向陽
           和歌山工
47回 1975(昭50) 伊都
48回 1976(昭51) 新宮
           和歌山工
49回 1977(昭52) 箕島
50回 1978(昭53) 箕島
           吉備
51回 1979(昭54) 箕島
           田辺商
52回 1980(昭55) 新宮
53回 1981(昭56) 御坊商工
54回 1982(昭57) 大成
           箕島
55回 1983(昭58) 星林
56回 1984(昭59) 和歌山工
57回 1985(昭60) 智辯和歌山
58回 1986(昭61) 御坊商工
59回 1987(昭62) 大成
60回 1988(昭63) ―
61回 1989(平1) 日高
62回 1990(平2) ―
63回 1991(平3) 箕島
64回 1992(平4) 日高
          南部
65回 1993(平5) 南部
66回 1994(平6) 智辯和歌山
67回 1995(平7) 伊都
68回 1996(平8) 伊都
          智辯和歌山
69回 1997(平9) 日高中津
70回 1998(平10) ―
71回 1999(平11) ―
72回 2000(平12) 智辯和歌山
73回 2001(平13) 南部
74回 2002(平14) 智辯和歌山
75回 2003(平15) 智辯和歌山
76回 2004(平16) ―
77回 2005(平17) 市立和歌山商
78回 2006(平18) 智辯和歌山
79回 2007(平19) 県和歌山商
80回 2008(平20) 智辯和歌山
81回 2009(平21) 箕島
82回 2010(平22) 智辯和歌山
           向陽
83回 2011(平23) 智辯和歌山
84回 2012(平24) ―
85回 2013(平25) ―
86回 2014(平26) 智辯和歌山
           海南
87回 2015(平27) 桐蔭
88回 2016(平28) 市立和歌山
89回 2017(平29) ―
90回 2018(平30) 智辯和歌山
91回 2019(平31) 市立和歌山
           智辯和歌山
92回 2020(令2) 智辯和歌山
93回 2021(令3) 市立和歌山
94回 2022(令4) 和歌山東
          市立和歌山
(2020年は開催中止。☆は21世紀枠)

※和歌山中=現・桐蔭
 和歌山商=現・県立和歌山商
 田辺中=現・田辺
 田辺商=現・神島
 市立和歌山商=現・市立和歌山
 御坊商工=現・紀央館
 吉備=現・有田中央
 海南中、大成=現・海南
 海草中=現・向陽
 伊都=現・伊都中央

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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