トレーニング改革が進む!名門・帝京、伝統校・八幡商の取り組み
ラプソードを活用する八幡商
高校野球界では、トレーナーが常駐、もしくは、週数回訪れて指導するチームも多くなった。
現場に行くと、トレーニング内容、動作について指導できるプロがいるかいないかで、日々のトレーニングの質は大きく変わってくると実感させられる。
昨秋、滋賀県大会で優勝した八幡商では、投手陣の育成をOBの宮地穂高コーチに委ねている。ブルペンで投げる時はスマートフォンで動画を撮影し、球速や回転数などを計測するラプソードを活用して投球データを共有。トレーニングも単なる走り込みなどではなく、宮地コーチが学び、プレーヤーとして自ら実践した身体操作系のメニューを取り入れ、投球に必要な筋肉や柔軟性の強化に努めている。さらに、宮地コーチは選手が主体性を持って日々の練習に取り組めるよう、コミュニケーションを交わした。
その結果、選手たちの意識も変わり、エースの中川 翔介投手は昨秋、最速143キロを計測しただけではなく、多くの投手が球速アップを実現している。
八幡商の選手の多くが、中学時代からスターだったわけではない。確かな取り組みで、県内トップレベルの投手陣を築き上げている。
名門・帝京(東京)も昨秋の公式戦終了後、帝京OBのトレーナーが赴任。帝京はウエイトトレーニング、エルゴメーターなどパワー系メニューで徹底的に選手を鍛え上げ、強靭な肉体を作り上げることで有名だった。そこにトレーナーが赴任後、身体操作、股関節の柔軟性を高めるトレーニングなど、動作に直結するトレーニングを設けるようになった。
また、トレーナーからもウエイトトレーニングの際のフォームをしっかりと見てもらい、質を高める努力を行っている。ウエイトトレーニングは継続しつつ、柔軟性を高めるメニューを組んでいった結果、体が大きくなるだけではなく、故障も大きく減ったという。どの学校も柔軟性を高め、故障を防ぎたい意識はある。ただ、クオリティーが高いトレーニングは専門家考案のものでなければ、実現できない。
時間は有限。取材を回っていても、だいたい平日3時間前後だ。その中でどう意識を変えるか。トレーニングの質を高めるか。専門知識のある方の意見、考えを積極的に取り入れ、名門校も変わろうとしている。