
右打席でフリーバッティングを行う高松商・浅野 翔吾(3年主将・中堅手)
昨夏は2年ぶりとなる2大会連続21度目の甲子園出場を果たし、作新学院(栃木)から10得点を奪い1勝を挙げ、続く3回戦でも優勝した智辯和歌山(和歌山)相手に3対5と粘りの戦いを見せた高松商(香川)が、2022年1月4日(火)に高松市内の同校グラウンドで2022年の部活動を始動した。
主将を務め、夏の聖地に懸けた鮮烈な一発を含め、ここまで高校通算44本塁打を放っているドラフト上位候補スラッガー・浅野 翔吾外野手(3年=171センチ89キロ・右投両打・高松市立屋島中出身)も2022年の練習をスタートさせた。
8時半過ぎから始まった練習冒頭、選手だけで組まれた円陣で、浅野は「新しい年に入って俺たち2年生は高校最後の年、夏は絶対に甲子園に出ないといけんけん、頑張ろう。そのためには1年生の力も大事になってくると思うので、一緒に頑張っていこう」とあいさつした。
その後、年頭のミーティングで、昨年12月に2日間指導を受けたイチロー氏(MLBシアトル・マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)から託されたバットを手にした長尾健司監督から「イチローさんは見ているぞ。2022年は『総合力大作戦』で、みんなで戦っていくけど、その中で(浅野)翔吾は一発で仕留める力を付けないといかん」と改めて主将の果たすべき役割を伝えられたチームの大黒柱は「全力の中でいい形を作る」イチ流を体現すべく、初日から約6時間に及んだ練習でも、終始率先した動きを披露した。
特にグラウンドでの練習では、昨年11月の練習試合で強肩を活かすべく「幅の広い選手になるために」遊撃手、捕手も務めた軽快な動きで内野ノックを受け、フリーバッティングでは昨年11月から本格的に取り組んだ左打席でも「参考にしているし、インパクトの強さを見習いたい」というヤクルト村上 宗隆内野手(九州学院出身)を思わせる鋭い打球を連発。昨年11月練習試合における左打席60打席で打率6割超・本塁打4本をマークしている驚異的打棒を垣間見せている。

ダッシュに取り組む高松商・浅野 翔吾(3年主将・中堅手)
また、5種類のコンビネーションダッシュや午後の筋力トレーニングにおいても、50メートル走5秒9の俊足をさらに実戦で生かすために、イチロー氏から学んだ「第二リードでジャンプせずに静かにリードする」ベースとなるステップと体幹を徹底的に鍛える意識が見て取れた。
2022年の抱負は色紙に「甲子園ベスト8、ドラフト指名」と記した浅野。その頂を踏破するために重ねるべき努力が実れば、「侍ジャパンU-15の時にはアジアで優勝した(第15回BFAアジア選手権)ので、やはり代表に入って(1年延期され今年9月開催予定となっている第30回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ)で世界一になりたいと思っている」侍ジャパンU-18代表での期待も高まる。
加えて「今年一年、自分が目標にしている日本体育大4年の矢澤 宏太さん(投手兼右翼手・藤嶺藤沢出身)のように、大学社会人含めて総合的に一番いい選手と評価されるようになりたい」という思いをより明確に表現できれば、阪神・森木 大智投手(高知高出身)に続く「俊足強肩強打スイッチヒッター」としての、2年連続四国地区高卒ドラフト1位指名も見えてくるだろう。
(取材=寺下 友徳)