ヤクルト高卒投手の飛躍が6年ぶりVの原動力
奥川 恭伸(星稜)
2021年のペナントレースは、セ・リーグがヤクルト、パ・リーグはオリックスが優勝を飾った。ヤクルトは奥川 恭伸、オリックスは宮城 大弥と高卒2年目の投手が飛躍。チームに欠かせない存在となった。その他にも佐々木 朗希(ロッテ)や及川 雅貴(阪神)ら同じく高卒2年目の投手がクライマックスシリーズに進出したチームの戦力となった。
彼らのように生え抜きの高卒投手が早い段階で計算できるようになると、チームにとってはこの上なく大きい。国内FA権の取得までの期間が大学生や社会人出身の選手と比べ1年長いからだ。
さて、各球団の生え抜き高卒投手は、今シーズンどれだけの勝ち星を挙げているのかを振り返ってみたい。
6年ぶりにセ・リーグを制覇したヤクルトは9勝を挙げた奥川を筆頭に、高橋 奎二と金久保 優斗のふたりがともに4勝を挙げた。生え抜きの高卒投手合計で17勝。チーム勝利数73勝の23.3%にあたる。ここ数年のヤクルトは石川 雅規や小川 泰弘、そして外国人投手が軸となっており、高卒の先発投手は一軍になかなか定着できなかった。そこから一気に巻き返してきた。
一方で今シーズンのヤクルトは高卒に限らず規定投球回に到達した投手がひとりもいなかった。奥川や高橋は中6日ではなく、それ以上の間隔を空けて登板してきた影響が大きい。来シーズン以降はどのような起用法になるかわからないが、奥川や高橋らが規定投球回に乗ってくると先発ローテーションも安定してくる。
ヤクルトの生え抜き高卒投手で規定投球回に到達したのは、2013年の八木 亮祐(享栄→2008年2位)が最後。それ以降、規定投球回に到達した生え抜きの高卒投手はいない。
順調に育ちつつある奥川や高橋、そして金久保らは投球イニング数を伸ばし、先発ローテーションを回す存在となることができるだろうか。彼らが先発ローテーションの軸となることができれば、セ・リーグ連覇もぐっと近づいてくる。
<ヤクルト・生え抜き高卒投手勝利数>
チーム勝利数:73勝
生え抜き高卒投手勝利数:17勝(23.3%)
(9勝)奥川 恭伸(星稜→2019年1位)
(4勝)高橋 奎二(龍谷大平安→2015年3位)
(4勝)金久保 優斗(東海大市原望洋→2017年5位)
(記事:勝田 聡)