17年ドラ1右腕に厳しい現実。あの右腕に一度は助けられた吉住晴斗が2年続けての戦力外通告に
吉住晴斗投手(鶴岡東)
日本全国が急激に冷え込んできたと思ったが、心もどこかさみしくなるニュースが飛び込んできた。現在は育成契約のドラフト1位右腕、吉住晴斗投手(鶴岡東)が戦力外通告を受けた。
2017年ドラフトでソフトバンクが清宮幸太郎、安田尚憲、馬場皐輔の1位指名をクジでことごとく外した末の1位として入団した。2年夏に甲子園には出場したがリリーフ登板しただけで、ほとんど実績のない右腕だったが、伸びしろに大きく期待しての1位指名だった。185センチと上背があり、ダイナミックなフォームは大きく化ける期待が高かったが、制球力がどうしても伸びなかった。1軍はおろか、2軍ですら実績を残すことができず2020年オフに戦力外通告を受けた。球団から育成再契約を打診されて、今季からは育成として再び活躍の道を歩み出した。しかし、わずか1年後に2年連続の「戦力外通告」。厳しい現実が待っていた。
まさにどん底から這い上がろうとしていた。上背を活かして上から投げおろすタイプだったが、横手投げへの変更にチャレンジ。「試せるものはなんでもチャレンジしたい」とドラフト1位のプライドをかなぐり捨てて、一からスタートした。コントロールに磨きをかければ、特徴をもった投手に変身できる可能性は秘めていた。
実は、あのメジャー右腕からの激励が、吉住を支えていた。20年オフに戦力外通告を受けた際に「気持ちが切れかかっています」と現役引退をほのめかすような発言をしていたが、一転前を向けたのは、ある選手からの言葉があったからだった。
ソフトバンクの育成から這い上がった石川柊太投手(総合工科)が親交のあるパドレスのダルビッシュに連絡を取ると、吉住のもとにダルビッシュから「3年でやめるのはもったいないんじゃないの」という趣旨の言葉をもらった。吉住もまさか、あのダルビッシュから本当に連絡をもらえるとは思ってなかったらしく「びっくりした」。メジャー右腕の一言で育成から這い上がる決意をした吉住に、ダルビッシュも切り替えが早く、前向きになれるのはすごい、とのツイートもしたほどだ。それからダルビッシュから変化球の指導も受けたりして、期待していたところだった。
吉住は現役引退の意向だという。ダルビッシュは、どう思っているだろうか。