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東海大学札幌校が悲願V!「野球の楽しさと、真剣に戦う楽しさ」味わった/準硬式

2021.09.23

オリンピックに負けない熱戦が八王子で開幕

東海大学札幌校が悲願V!「野球の楽しさと、真剣に戦う楽しさ」味わった/準硬式 | 高校野球ドットコム
開会式の模様

 依然続くコロナ禍のなか、東京ではスポーツの祭典・オリンピックが何とか開催された。賛否両論が飛び交う中だったが、侍ジャパンが悲願の金メダルを獲得するなどアスリートは人々に感動を与え、東京の夏を例年以上に熱くしてくれた。

 オリンピックが灯した情熱の炎を引き継ぐように、八王子市民球場を中心に9月5日より熱戦が繰り広げられた。大学準硬式野球の日本一を決める、清瀬杯第53回全日本大学選抜準硬式野球大会(以下、清瀬杯)が開幕したのだ。

 2年ぶりの開催となった清瀬杯は、大学準硬式野球界において数少ない全国大会だ。同時に1969年から始まり半世紀以上の歴史もある由緒ある大会でもある。

 ただ仕組みは少し複雑だ。
 大学準硬式野球界の最高峰の大会である、第73回全日本大学準硬式野球選手権大会(以下、全日大会)には惜しくも進めなかったものの、全国9地区に分かれたブロックから勝ち上がってきた精鋭16校が清瀬杯に集結している。

 予選で一度負けているチーム同士の集まった、全日大会とは違う全国大会。違和感がある方が多いだろうが、視点を変えれば敗者を敗者のままで終わらせない。予選の経験を全国の舞台で活かす。準硬式ならではの教育的観点を持った仕組みと考えれば、納得がいくのではないだろうか。

文部科学大臣も出席!盛大な開会式で開幕!

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萩生田文部科学大臣/font>

 9月5日に、準硬式の聖地でもある八王子市民球場で開会式が行われた清瀬杯。新型コロナウイルスの蔓延に伴って、7校が出場辞退。9校による開会式となったが、地元・八王子にある八王子の吹奏楽部による演奏のおかげもあり、盛大に開会式がスタート。

 開会式では、今大会の担当地区である関東地区の宮内 孝知会長、さらに八王子市長である石森孝志氏による挨拶。さらに、来賓として出席した萩生田光一文部科学大臣から、選手たちへエールを送ると同時に「後期の授業が出来るように」と本業である勉学も通常通りに戻れるように尽力することを誓った。

 そんな萩生田文部科学大臣、そして石森八王子市長による始球式。そして名城大学の斎藤大輝主将(北陸出身)による選手宣誓によって、清瀬杯が華々しく開幕した。

[page_break:延長11回にサヨナラゲームと熱戦続出]

延長11回にサヨナラゲームと熱戦続出

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決勝まで勝ち進んだ久留米大

 1回戦は3試合が行われ、名城大(東海地区代表)が、関東学院大(関東地区代表)に勝利。延長10回にもつれる熱戦を7対5でモノにすると、30年ぶり3度目の出場となった埼玉大学(関東地区代表)は、千葉 悠雅水沢出身)のサヨナラ本塁打で日本福祉大(東海地区代表)を下して2回戦に進出した。

 サヨナラ勝ちで勢いづいた埼玉大を相手に、2回戦で久留米大(九州地区代表)が11回サヨナラ勝ち。岸川良輔龍谷出身)がヒーローとなり、準決勝進出を決めた。

 さらに2回戦では日本大と国士舘大学世田谷による関東地区同士の試合も繰り広げられた。新体制となった日本大だったが、古賀 涼平佐賀商出身)の完封劇で準決勝進出。打っても阿部 豊土浦日大出身)と清水 祐作日大二出身)のホームランと投打がかみ合ってベスト4入りを果たした。 

 そしてLIVE中継も始まった準決勝では、東海大札幌校が平澤輝東海大諏訪出身)の3打点の活躍などで、13対6の10回延長で決勝進出。日本大と久留米大の一戦は、大隈駿輝翔館出身)の勝ち越し打などで6対2として久留米大が勝利した。

北海道地区の悲願を達成する

東海大学札幌校が悲願V!「野球の楽しさと、真剣に戦う楽しさ」味わった/準硬式 | 高校野球ドットコム
決勝戦でも活躍した東海大学札幌校・平澤輝主将

 どちらが勝っても初優勝と、何が何でも勝ちたい決勝戦。複数投手で1回戦から勝ち上がった久留米大。2度の不戦勝もあり、準決勝は野手登録の丹波結都東海大札幌出身)しかまだ使っていない東海大札幌校。

 どちらも打力が互角の成績を残すだけに、投手陣が鍵を握った一戦は、東海大札幌校の背番号1・丹波が躍動した。
 立ち上がりからランナーを背負いながらも要所を締める粘りの投球で、久留米大のスコアボードに0を並べていく。

 試合が動いたのは4回、丹波は久留米大の7番・吉瀬泰斗筑陽学園出身)にセンターへのタイムリーを許し、東海大学札幌校は苦しい展開になる。

 だが直後の攻撃、一死から四球で打線を繋いで満塁と反撃のチャンスを作る。ここで8番・丹波の押し出しや9番・平澤(東海大諏訪出身)の内野ゴロで同点。さらに2番・雄鹿真司東海大札幌出身)の右中間への勝ち越し打で東海大学札幌校がすぐさま逆転した。

 2点ビハインドが一転して3点リードと余裕が生まれたマウンドの丹波は、120キロ台のストレートに、110キロ台の変化球を巧みに混ぜた投球で、久留米大の打線を封じた。

 8回にはダメ押しの3点をもらい8対3とした東海大学札幌校。最後に久留米大の反撃にあうも、8対5で勝利して悲願の初優勝。さらに北海道地区としても初の栄冠となった。

[page_break:日本一のチームが語る準硬式野球の魅力]

日本一のチームが語る準硬式野球の魅力

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優勝した東海大学札幌校

 チームとして、そして北海道地区としても悲願となる清瀬杯優勝という歴史を作ったことに主将の平澤(東海大諏訪出身)は「実感はまだ湧かないですが、試合が終わってから全員で集まったときに、優勝したことを実感しました」と、喜びをひしひしと感じ始めている様子だった。

 清瀬杯はチーム事情により全試合を1人で投げ抜いた外野登録の丹波(東海大札幌出身)「みんなに助けられて勝てたと思います」と全員で優勝を掴んだと語った。

 東海大学札幌校にはチームを指揮する監督は存在しない。練習から平澤主将を中心としてメニューやスタメンオーダー、選手交代なども選手たちで考えて活動する。必ず監督がいて指示を出してくれた高校までの野球とは、真逆のチーム状態で日本一の栄冠をつかんだ。

 練習時間に関しても、高校野球のように長く練習ができるわけではなく、2時間という制限されたなかで活動をする。時間や場所を自分たちで確保して、なおかつ自分たちで指示を出しあう。完全な選手主体のなかに難しさも、楽しさもあると日本一の主将は振り返った。

 「監督がいないので、自分の考えが出てしまったり、まとまらないことには苦しみましたし、上手くできなかったかもしれません。
 ですが、それが自分の役割ですし、みんなで楽しくいい雰囲気で出来るのが良いところが準硬式の良いところなんです。そういった野球そのものの楽しさと、真剣に戦う楽しさの両方を味わいながら、優勝出来て良かったです」

 秋リーグを前に、4年生の何名かは清瀬杯を最後に一区切り付ける選手もいるそうだ。短い準硬式野球生活で培った経験をこれからに活かしてほしいが、最後に準硬式の魅力を聞かせてもらった。

 「僕らの場合は監督がいないのもあって、純粋に野球が好きな選手ばかりが集まっています。そのメンバーで練習をして大会に出場するだけなので、勝ちたい気持ちは同じでも高校野球とはまた違った楽しさを感じられるのが準硬式です」(丹波)

 「自分の持ち味や得意なことを思い切り発揮できる。自分の得意なことを伸ばして勝利に貢献できるのが準硬式です。だから、準硬式の楽しさを通じて、自分の成長に繋げるのが一番の魅力だと思います」(平澤主将)

 これで清瀬杯は幕を下ろしたが、大学準硬式野球界最大の大会である全日大会は、9月27日より、愛知県豊田市を中心に再開することが先日発表された。

 当初は8月10日に岡山県での開催予定だったが、異例ともいえる長雨の影響で大会を延期。新型コロナウイルスの感染状況を見計らい、感染防止の観点から考えられた結果、愛知と静岡の2会場に分割して、9月末より再開する判断が下された。

 清瀬杯を超える熱い試合が繰り広げられることを期待したい。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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