本塁打王狙うギータ、今季の「お得意様球団」は?
柳田悠岐
ソフトバンク柳田悠岐外野手(広島商出身)が15日ロッテ戦で8試合ぶりに1発を放った。前日14日のロッテ戦で敗れ、チームとしては自力Vが消滅してしまった。目標だったリーグ連覇は、まさに崖っぷちに立たされた。それでも諦めない。ナインの士気を上げる、主砲の一振りだったといえる。
今季の本塁打数を26本とした。本塁打王争いでロッテ・マーテインを抜き、トップのオリックス杉本に並んだ。16日には再び杉本が1発を放ったため、1本離されたが、シーズンも残り30試合を切り、最後までもつれることになりそうだ。奇跡を信じて優勝へ向かうため、そして自身初の「本塁打王」タイトルに向けて、自慢のフルスイングを止めるわけにはいかない。
ソフトバンクは毎年、優勝候補に挙げられているが、その割には本塁打王となるとあまり縁がない。デスパイネが2017年に35本でタイトルを手にしているが、日本人となるとソフトバンク元年の05年松中信彦(46本)の本塁打王までさかのぼる。松中は04年に三冠王に輝き、本塁打王(44本)になっているが、その前となると1995年ダイエー時代に小久保裕紀・現ヘッドコーチが28本でタイトルをとっている。ここ14年で9度は、西武の中村と山川に取られ、悔しい思いをしてきた。小久保ヘッドコーチ就任1年目だけに、周囲の期待も高まる。もちろん、柳田の初の本塁打王タイトルは「世界のホームラン王」王貞治球団会長の悲願でもある。
柳田の今年の「カッコよさ」をひとつ紹介したい。
7=ロッテ
6=オリックス
3=西武、日本ハム
2=楽天、巨人
1=中日、広島、ヤクルト
0=阪神
上記は今季、本塁打の球団別本数。ロッテ、オリックスだけで半分を占めた。パ・リーグで首位争いを演じている2チームを「お得意」としているのだ。単に本塁打を放てばいいのではないく、やはり強いチームから、強い投手陣から放つことに大きな意味がある。
もう残り30試合を切ってしまったと考えるか、まだ30試合弱残っていると考えるか。柳田は過去、首位打者、最高出塁率、最多安打のタイトルを獲得しているが、本塁打、打点のタイトルはない。「ギータ」のバットはチームを鼓舞し、球団悲願の「和製本塁打王」の誕生のために「フルスイング」にラストスパートをかける。