ほぼ0から100点の実績を残し、16年甲子園優勝投手となった今井達也(作新学院-埼玉西武)の凄さ
今井 達也(作新学院出身-埼玉西武)
9月11日、埼玉西武の5年目右腕・今井 達也がオリックス戦で完封勝利を挙げ、自己最多タイの7勝目を挙げた。その今井は16年の夏、優勝投手として甲子園を沸かせた。
今井といえば、これまでの甲子園優勝投手と違う点は夏まで全く実績がない点だ。
まず2年夏、栃木大会でベンチ入りしているが、甲子園ではベンチを外れており、そして3年春も背番号18で登板がない。
ドラフト候補の評価は春の大会の時点で評価は固まっていく傾向が強い。今井投手は潜在能力を高く評価されていたが、客観的に見れば春までの実績では、ドラ1投手と呼べない。
しかし今井の凄さはここから。
公式戦の登板が少ない中でも、素質の高さを高く評価され、夏前の練習試合ではスカウトから高い注目を浴びていたが、夏の大会で急上昇。夏の栃木大会で初の完投勝利を収めるなど甲子園出場に貢献した。
甲子園初戦の尽誠学園戦では最速151キロの速球を武器に11奪三振完封勝利。大きな衝撃を与える。その後も、どの試合でも150キロ超え。最終的に全5試合に登板し、41イニングで44奪三振、自責点5の快投で、優勝投手に。そして高校日本代表にも選出し、決勝戦にも先発した。
その後、埼玉西武ライオンズから1位指名を受け、現在は若きエースとして活躍をしている。
甲子園で活躍した投手は下級生からそれなりの実績がある投手がほとんどだ。実際に夏の甲子園で優勝した智辯和歌山のエース・中西 聖輝も1年生の時から実績があった投手だった。
春の大会後から夏にかけての成長度。実績ほぼ0から100点満点の結果を残した急上昇ぶりはこれまでの甲子園優勝投手の中でも異例だろう。
初の二桁勝利へ向けて、さらなる活躍を期待したい。
(記事=河嶋 宗一)