やはりホームランは、見ていて気持ちいい。何回見てもあきない。

 甲子園での阪神対巨人。4日のセ・リーグ首位決戦の第2ラウンドは、本塁打の応酬だった。なんか、気分がスカッとした。

 巨人・岡本 和真智辯学園出身)が、自己最多の34号2ランを放った。内角の速球に体をクルリと回転させ、左翼席へたたきこんだ。1点差ビハインドを一気に跳ね返す値千金の一発だった。

 気のせいかもしれないが、岡本の内角打ちが目立つ。好打者に対する投手の攻めの鉄則のひとつに内角攻めがある。特に長距離砲にとっては、真ん中から外よりの方が腕が伸びてインパクトに力を加えやすい。内角は腕をたたむか、バットを遅らせるか、体を早く開いて、バットを巻き込むように打つか。いずれにしても技術が必要で、それを実現するフィジカルも必要だ。大きく大上段に構える大きな体の岡本が、素早い動きで内角球をさばく打撃は見ていてスカッとする。打ったコースも低めではなくやや高めで、一番難しいとされるところだ。投手からすれば、どこに投げても打たれる。

 東京五輪での中断が開けた8月から、岡本のバットが上昇している。今季、6月までの月別打率は3割行かなかったが、7月は.316、8月は.333。そして9月は.357。中断後の8月からの通算でも、4日までで.338。本塁打も19試合で7本。このペースを維持すれば、シーズン50本も夢ではない。

 9回裏に、阪神大山の逆転サヨナラ2ランが飛び出し、岡本の自己最多を更新する逆転2ランは空砲に終わった。今夏甲子園で、1年生の横浜緒方 漣が9回にサヨナラ逆転3ランを放った試合を思い出した。

 この日甲子園で見守った巨人ファンは岡本のメモリアルアーチが見られた。阪神ファンも梅野の逆転2ランに、大山の逆転2ランで歓喜しただろう。コロナ禍で大騒ぎできないのが悔しいだろうが、野球ファンにとっては、「逆転2ラン」が3本も見られたのだから、満足しなくてはいけない。

 「ホームランはたった一振りで試合の流れをガラッと変えられるからね」

 王 貞治・ソフトバンク球団会長が、いつも口にする言葉だ。生涯で868回、試合の流れを変えてきた王会長が、当時の世界記録755本を抜く756号を放ったのが1977年9月3日。1日違いこそあれ、あれから44年。改めて野球の醍醐味はホームランであることを痛感した。

(記事=浦田 由紀夫)