2年目で初勝利の及川 歴代の阪神高卒左腕の成績と比較すると…
及川 雅貴(横浜―阪神タイガース)
5月31日に行われた西武対阪神(メットライフドーム)の試合で及川 雅貴(阪神)がプロ初勝利を飾った。
及川は2019年ドラフト3位で指名され横浜高から阪神に入団した左腕。ドラフト当時は奥川 恭伸(星稜高→ヤクルト1位)、佐々木 朗希(大船渡高→ロッテ1位)、西 純矢(創志学園高→阪神1位)とともに高校四天王と呼ばれていた存在だ。その3人がすでに手にしていた白星を及川もついに手に入れた格好だ。
現在の及川は一軍で中継ぎ起用となっているが、二軍では6試合で28.1回に投げており、将来的には先発としての起用も視野に入る。矢野 燿大監督も試合後に「いずれは先発をさせてやりたいとは思っている」とコメントしたほど。貴重な左腕だけにその育成過程、起用方法にも注目が集まってくる。
さてそんな阪神は岩貞 祐太や岩崎 優らの中継ぎ陣、さらにはベテランの岩田 稔と経験豊富な生え抜きの左腕が多くいる。しかしいずれも大卒出身であり高卒出身ではない。調べてみると、阪神は1989年(平成元年)以降、高卒左腕を戦力とすることがほとんどできていない事実が浮かび上がってくる。
1989年以降で阪神は及川が高卒左腕では8人目の指名(育成含む)だった。過去の7名で一軍登板を果たしたのは井川 慶(水戸商→1997年2位)と島本 浩也(福知山成美高→2010年育2位)のふたりだけ。及川は平成以降で3人目の一軍登板となった。
残りの6名を見ると、すでに4人が一軍登板を果たせないまま現役を引退している。及川の1学年上にあたる川原 陸(創成館高→2018年5位)は現役だが、現時点で一軍登板はない。
平成以前を見ると江夏 豊(大阪学院高→1966年1次1位)という球史に残る大エースはいるものの、その他では仲田 幸司(興南高→1983年3位)が目立つくらい。やはり高卒左腕を戦力化することに苦労している。
高校時代に「高校四天王」と称された逸材だ、井川や江夏といった球団の大先輩と同じようにチームを背負うエースになることができるだろうか。今後の登板が楽しみだ。
【阪神の生え抜き高卒左腕】
※1989年(平成元年)以降のドラフト指名以降
※☆は現在阪神に所属
及川 雅貴(横浜高→2019年3位)☆
川原 陸(創成館高→2018年5位)☆※一軍登板なし
島本 浩也(福知山成美高→2010年育2位)☆※支配下登録されたが現在は育成契約
田村 領平(市和歌山商→2002年8巡)※一軍登板なし
中林 祐介(金沢高→2001年5位)※一軍登板なし
井川 慶(水戸商→1997年2位)
安達 智次郎(村野工→1992年1位)※一軍登板なし
中川 申也(秋田経法大付属高→1991年5位)※一軍登板なし
※2021年5月30日終了時点
(記事:勝田聡)