身長167センチの4年生左腕が、首都大学野球の強豪・東海大学を封じ込めた。

 首都大学野球リーグは、29日に優勝決定戦がサーティーフォー相模原で行われ、桜美林大学が東海大学に3対1で勝利。30日の帝京が待つ優勝決定戦第2戦に駒を進めることとなった。

 リーグ優勝へ王手をかける原動力となったのが、先発を任された多間 隼介北海出身)だった。高校時代には2年生夏に甲子園準優勝を経験した多間。3年時は現横浜DeNAの阪口 皓亮と二枚看板を張り、同校3年連続となる夏の甲子園出場へ牽引した。セットポジションからすっと右足を真っすぐ上げて1本足で立つと、スムーズに重心移動して、着地と同時に鋭く回転する。コンパクトに使った左腕は出所が見にくく、東海大学の各打者がなかなかボールを捉えきれていなかった。

 3年生までは中継ぎが専門だった多間は、4年生となり先発に転向。それに伴ってペース配分やピッチングスタイルを変えた。

「長いイニングを投げることに自信を持っていませんでした。ですが、試合で登板することが増えるにつれて自信を深めました。
そのなかでも先頭バッターを抑えることを特に大事にするようにしました。先発は攻撃にリズムを繋げないといけないので、その辺りが先発になって意識するようになりました」

 実際に東海大学戦では先頭打者を許したのが8回のみで、残りのイニングはすべて先頭バッターを抑えた。多間本人も「先頭バッターを抑えられたことが勝利に繋がった」と振り返っていた。

 だが、多間が成長に最も手ごたえを感じているのは投球術ではなく、コントロールだった。

松葉 行人さんと練習をしている時に、キャッチボールをすごく大事にされていたんです。自分はあまり好きではなかったのですが、松葉さんが丁寧に取り組まれているのを見てから『エースとしてあれくらいこだわらなきゃいけないんじゃないか』と思うようになってから大事にしてきました」

 きちんとフォームを固めるために入念に取り組むようになった多間。その中で気づいたことが右腕の使い方だ。

 以前までは右腕を身体の内側に出す形で、壁として利用したという多間。しかしグラブを引き付ける際に、巻き込みながらグラブを引くため、結果的に開きやすいフォームになっていた。ここを改善するために、右腕をキャッチャーに対して真っすぐ突き出し、引き付けるように、右腕を使うように変えた。すると開きが抑えられるようになり、結果として制球力が高まり、ピッチングに安定感が生まれた。

 あとはキャッチボールを通じて、フォームを固めて再現性を高める。こうした地道な取り組みが、首都1部で防御率1位の成績を収め、大事な優勝決定戦で好投をすることに結びついた。

 奇しくも、29日は大学創立100周年の節目。記念の1日に勝利で花を添えた多間。30日の帝京大学に勝利すれば優勝が決まる。勝負の一戦に向けて、多間のなかでは連投の覚悟は出来ている。2016年の秋以来の優勝へ、エースの活躍に注目だ。