東都二部・専修大にいた逸材!148キロ右腕・菊地吏玖(札幌大谷出身)の持つ魅力
菊地 吏玖(札幌大谷出身)
18日に開幕した春季東都大学野球リーグの2部。昨秋は3位でリーグ戦を終えた専修大は国士舘大を13対1で下し、開幕戦の白星を飾った。この勝利に大きく貢献したのが3年生エース・菊地 吏玖(札幌大谷出身)の好投だった。
札幌大谷時代には甲子園を経験できなかったが、1年生春からベンチ入りを果たし、3年生の時は二刀流で活躍した逸材。プロのスカウトからも注目を集めていた菊地は専修大に進学すると、昨秋のリーグ戦では最優秀防御率を受賞。現在の自己最速は148キロだという菊地。この試合、最速146キロを計測した剛腕はワインドアップから始動するコンパクトなフォームが特徴的だ。にもかかわらずミットに突き刺さるボールは威力十分で、いかに菊地の持つ出力が高いのかが窺い知れる。ここに関しては菊地本人も、「投手陣の中ではパワーはある方です」と自負するほど。
専修大に入学後、ウエイトトレーニングに力を入れ、入学してまもなくはベンチプレス80キロの重量だったが、現在は100キロ超える重さを使ってトレーニングを行う。他にもスクワットならば180キロの重さを取り扱うなど、筋力アップに力を注いでパワーアップしてきた。それと同時に柔軟性の強化も忘れない。チューブなどの器具を使った可動域を広げるメニューにも重点的に取り組み、関節の柔軟性も両立してきた。
フィジカル面を向上させながら、フォームも改良を施してきた。元々、小学生の時から出所が見えにくいフォームを指導され続けたことで、「気がつけば自然と意識するようになりました」と今では菊地の中では大事なポイントになっている。
その視点で言えば現在のフォームは、いかに体重移動による横の時間を長くし、着地と同時に一気に回転させるように意識している。こうすることで、出所を見えにくくしようと心がけているそうで、メジャーのダルビッシュ有(東北出身)を参考にしながらフォーム固めを続けている。
それと並行して菊地のなかで課題にしているのが、力感なく威力あるボールを投げ込むか。「自分の中では80%くらいのつもりで投げても、見ている人には100%のボールに見せたい」と思い、トレーニングでの出力向上はもちろんだが、フォームの中で脱力感を作れるようにしている。
自分の中でも力まないように言い聞かせることで防ごうとしているそうだが、あとは目線を一度切ることで、力感を無くしている。
「千賀 滉大さん(蒲郡出身)が一度目線をサード方向に向けますが、そこを真似しています。ずっとミットを見てしまうと、ミットを見過ぎて前かがみになってフォームのバランスが崩れますし、力んでしまいます。けど目線を切れば、それらすべてを一度リセットできて良いピッチングができています」
国士舘大戦では立ち上がり、フォーム全体のバランスが整っていたが、中盤は脱力しすぎてしまい連動性がかけて制球力が乱れたことを反省した菊地。札幌大谷つながりで言えば、昨秋のドラフトで2学年下の阿部剣友がプロへ進んだ。「凄いなと思いますし、誇れることですが、僕も行かなければいけないと思っています」と改めて覚悟を決めてシーズンに入っている。
同世代のHonda・米倉 貫太(埼玉栄出身)をライバル視する専修大の2022年ドラフト候補が今後どういった成長を見せるか楽しみだ。
(記事:田中 裕毅)