菅野から初H　ヤクルト期待の武岡龍世（八戸学院光星出身）の1年目

高校時代の武岡龍世（八戸学院光星出身）

　福岡ソフトバンクの優勝で幕を閉じた2020シーズンのプロ野球。広島東洋・森下 暢仁や東北楽天・小深田 大翔を始め、ルーキーたちもその盛り上がりに大いに貢献したが、彼らのように一軍で活躍するルーキーもいる一方で、高卒ルーキーたちは主にファームで力を蓄えた選手が多かった。未来のプロ野球を盛り上げるプロスペクトたちのルーキーイヤーを振り返りつつ、2021年シーズンの展望を見ていきたい。今回は東京ヤクルトスワローズの武岡 龍世だ。

　八戸学院光星時代は2年夏から3季連続で甲子園出場を果たすなど、世代屈指の遊撃手としてプロの世界に入った武岡。ルーキーイヤーは一軍、ファームともまずまずの成績を残した。

▼2020年シーズン成績
5試合　打率.333（9打数3安打）　0本塁打　0打点　0盗塁　2四球　3三振　長打率.333　出塁率.455（一軍）
72試合　打率.218（238打数52安打）　2本塁打　14打点　3盗塁　29四球　56三振　長打率.286　出塁率.305（ファーム）

　昨シーズンの武岡はイースタン・リーグトップとなる277打席に立ち、72試合、238打数は同2位の数字だった。打率.218は規定打席到達28人中25位、56三振は同7位と、打撃面では苦しんだ印象だ。しかし守備では遊撃64試合、二塁12試合に出場し、遊撃守備率.970はリーグ3位と好成績を残した。

　続いて、武岡のファームでの打席数とOPSの推移を見ていこう。

武岡 龍世の打席数とOPS（2020年・ファーム）

　開幕から遊撃のレギュラーを掴んだ武岡は、常に規定打席をキープするなど、シーズンを通して出場を続けた。6月は打率1割に届かず苦しんだが、7月は打率.303をマーク。20安打を放ち、3二塁打、1三塁打、1本塁打と長打を量産し、月間OPS.803を記録した。

　8月には初の一軍昇格を果たし、12日の巨人戦で菅野 智之から初打席初安打を放ってみせた。しかしその1試合のみでファームに戻ると、8月、9月は打率1割台と低迷。通算OPSも0.6を下回る時期が続いた。

　しかし10月には復調し、打率.300、OPS.767をマークして23日には再度一軍昇格。31日の巨人戦では再び菅野から安打を放つと、自身初のマルチ安打を記録した。

　高卒1年目は一軍とファーム合わせて300打席近くを経験するなど、守備の負担が大きい遊撃を守りながらも離脱することなく戦い通した。特に守備面ではリーグトップクラスの守備率を記録したことは、今後の強みとなってくるだろう。しかし打撃面では好不調の波が激しく、最終的なOPSも0.6を割るなど、課題が残るシーズンだった。

　それでも一軍昇格時には巨人のエース・菅野から安打を放つなど、光るものを見せた武岡。今シーズンはファームNo.1と言われるレベルにまで守備を磨き、打撃ではOPS.8以上を期待したいところだ。

　チームでは、昨シーズンの一軍遊撃手最多の69試合に出場したエスコバーが退団。2位の65試合に出場した西浦 直亨が一歩リードするが、長打力が魅力の廣岡 大志、フェニックスリーグで好成績を残した太田 賢吾、東北福祉大からドラフト4位で入団したルーキー・元山 飛優など候補は多いが、大本命と呼べるほどの実績がある選手はいない。

　春季キャンプは二軍スタートが発表されている武岡だが、圧倒的な成績を残し、一軍の遊撃争いに加わることができるか。注目の2年目となる。

（記事＝林 龍也）

データ協力： やきうのおじさん（@yakiunoojisan）
Twitterで野球の分析を行う。本記事のデータはすべて日本野球機構（NPB）のオープンデータを使用。

関連記事
◆3名の元プロ監督がセンバツ出場
◆青木宣親、飯田哲也などヤクルト下位指名でベストナインを組んだら凄かった…
◆山田哲人や村上宗隆などヤクルト歴代のドラフト1位でベストナインを組むと…？