ポテンシャル抜群の新成人・万波中正(横浜出身)が持つスラッガーとしての魅力
万波中正(横浜出身)
新成人となった万波中正(横浜出身)。この選手、ロマンがある。数字を振り返ると本塁打か三振、長打か三振の選手なのだ。
プロ1年目はファームで90試合、14本塁打、122三振と極端な数字を残した万波。プロ2年目の昨年は豪快な本塁打で一軍のオープン戦でも魅せたが、一軍未出場に終わった。
二軍では58試合、8本塁打、31打点、87三振(リーグワースト)、打率.196(リーグワースト)に終わった。ただ安打の内訳を見ると、当たれば長打になりやすい選手だ。
安打 41
二塁打 10
三塁打 3
本塁打 8
二塁打以上は21本で、半分以上が長打。打率は規定打席で最下位なのに、長打率.378と高水準だ。万波はどういう選手の成長曲線を描いてもらたいか。それは大田泰示(東海大相模出身)ケースではないだろうか。北海道日本ハムに移籍してから4年連続で二桁本塁打以上を記録し、打率も4年連続で.250以上と日本ハムには欠かせない大型外野手となったが、巨人のときは空振り三振が多く、確実性を欠く選手で、ファームで圧倒的な長打力を示しても、なかなか一軍の成績に結びつかなかった。
だが、プロ9年目で初の二桁本塁打を達成。万波はポテンシャル自体は大田に負けないものがあり、抜群の強肩でもある。
いわゆる王道のスター打者にありがちな高卒3年目~5年目から大ブレイク路線に乗っていけるかといわれれば、ここまでの粗さを見ると可能性は少ないかもしれない。とはいえ、しっかりとハマっていけば、年間二桁本塁打を記録できる逸材だろう。
そもそも本塁打を打った時のファンの反応の大きさ、ネット上の盛り上がりは大田とそっくり。限られた選手にしか与えられない特権といえる。
今年は自身の持ち味を失わず、選球眼、技術を高めることができるか。ぜひ飛躍を期待したい。
(文:河嶋 宗一)