外野手から155キロ左腕となった楽天ドラ1・早川隆久のエリート街道
高校時代の早川 隆久(木更津総合出身)
大学生No.1投手は杜の都のエースに向けて第一歩を踏み出した。
2020年のドラフトで佐藤 輝明とともに高い注目を集めた早稲田大・早川 隆久。4球団競合の末に東北楽天ゴールデンイーグルスが獲得し、背番号は21を付ける。過去には岩隈 久志氏が背負った番号であり、球団からの高い期待が窺い知れる。
そんな早川だが、高校時代からも世代屈指の投手だった。怪我の影響もあり、入学直後は外野手だったが、1年生の夏から投手へ復帰。その年の秋の県大会から登板機会を増やして投手を本格化させると、県大会優勝。さらには関東大会準優勝で2年生の春には選抜に出場した。
夏の甲子園は逃したが、最高学年に進学後、チームのエースとなった早川はさらに凄みが増していく。ウエイトトレーニングによるパワーアップによって、130キロ中盤だった速球が140キロ前後にまでスピードアップ。身体全体の出力が上がったことで、メリハリを付けた投球術が可能となった。加えて、新たな変化球も効果を発揮するなど、ピッチャーとして飛躍する。
2年生の秋は準決勝・専大松戸戦で無四球による完封勝利を掴むなど優勝に貢献。その後の関東大会では、桐光学園に1失点完投。同学年の左腕・高橋 昂也(現広島東洋カープ)を擁した花咲徳栄相手にも1失点完投勝利。腰痛を抱えていたとのことだが、それを感じさせない投球で関東大会優勝に大きく貢献して選抜の切符を掴んだ。
選抜では初戦の札幌第一に2失点完投すると、優勝候補に挙がっていた大阪桐蔭には1失点完投で勝利。秀岳館相手にも2失点完投するが試合には破れてベスト8。その後の県大会は初戦の千葉商大付戦のみの登板でチームはベスト8で終わるが、集大成の夏は激戦区・千葉を勝ち抜いて見事優勝を勝ち取って甲子園に戻った。
甲子園では初戦の唐津商から準々決勝・作新学院戦まで3試合すべて完投。2試合連続完封をするなど当時から最大の武器であった出所の見にくいフォームから、キレのあるボールを投げ込み、バッターを圧倒してきた。
その後の秋に開催されたアジア選手権の一員も担った早川は、同世代の仲間とともに日本の優勝に貢献。世代屈指の好投手として注目を集めながらもプロ志望を提出することなく、大学でさらに腕を磨く選択を取った。
その後は、壁にぶつかりながらも大学代表に名を連ねるなど、ステップアップを重ねてプロの世界を切り開いた。ドラフト1位左腕としてふさわしい活躍を1年目から見せられるか。今後の活躍にも注目したい。
(文:田中 裕毅)