――アンダースローにたどり着いた経緯、またはキッカケを教えてください。

山中選手(以下「山」) 小学校の時は、ソフトボールをやっていたのですが、ソフトボールって投げる時はサイドじゃないですか。その影響なのか、中学から野球(軟式)を始めて、2年生の時にピッチャーになった時も自然とサイドでした。
 高校に入っても、そのままサイドだったのですけど、たまにキャッチボールとかの遊び感覚で下(アンダースロー)で投げているうちに、ボールに力が伝わりやすいことに気付いて、自分に合っているのかなって思い始めました。
 それで高校2年の5月頃にあったNHK旗の予選で、いきなり試してみたんです。相手はその年の春の県大会で優勝していた済々黌だったのですけど、完投に近い形で抑えられたので、そこからずっとアンダースローになりました。

――必由館時代に夏の甲子園、九州東海大時代には大学選手権、そしてホンダ熊本に入ってからも全国大会を経験していますが、高校、大学、社会人と経験するにつれて何か変化してきたことはありますか?

「山」 今思えば、高校生の時は、ただ投げている感じがしますけど、だんだん年を追うごとに、体全体で投げられるようになりました。
 特に社会人に入ってからは、下半身と上半身の筋肉がついたことで、安定するようになり、楽に投げられるようになりました。そのことで故障もしなくなりましたし、球に力強さが増して、キレもよくなりましたね。

――肘(ひじ)を折り曲げるようなテークバックで、地面スレスレの位置から投げていますが、どんなイメージで投げていますか?

「山」 まず大事なことは、バランスですね。上と下のバランスが合わないと、アンダースローっていうのはどうしてもボールがいかないです。上と下のバランスが悪い時は、地面に手がつく時もありますし、そういう時は、下半身を使いきれていないから、腕も振れていない。
 だから、自分の場合は、いつもピッチングが終わったあと、必ずネットスローをやってバランスを確認しています。自分は不器用なので、反復練習しないと駄目なんです。
 野村(克也)さんがよく「不器用な方が最後に勝つ」っていうじゃないですか。自分もいつも同じこと(ネットスロー)を反復して、不器用という弱点をプラスに変えていく。だから、最終的に不器用な方が勝つのかなって思うんです。ある意味、不器用な方がいいところもありますよね(笑)。

――浮き上がるような軌道のストレートですよね。イメージとして参考にしている投手とかはいますか?

「山」 普通の上から投げるストレートとは違いますし、下から浮き上がるような感じなんで、自分の中ではストレートも変化球だと思っています。投げているうちの7~8割がストレートですし、それが自分の生命線ですね。
 同じアンダースローということで、渡辺俊介(千葉ロッテマリーンズ)さんとか、牧田和久(埼玉西武ライオンズ)さんとかをテレビで見ていると気になりますし、自分に合っているなと思うことがあったら、参考にすることもありますが、基本的には自分で考えながら独学でやっています。
 手は気持ち立てる感じで、捻って……。たまに教えてほしいとか言われることがあるんですけど、フォームは教えられても、ボールに力を伝える感覚はその人の感性になるので、難しいですね。

――ずばり、アンダースローの面白みを教えてください。

「山」 球速が遅いので、いかに速く見せるかですね。生涯最速は133キロなんですけど、自分の中では本格派だと思っています。ストレートで空振りを取って、しかもボールがバットの上を通る時が一番気持ちいいですね。


 試行錯誤しながらたどり着いた技術をぜひ後世に伝えてほしい。