3割打者目前の楽天・黒川史陽(智辯和歌山出身)!広島・木下元秀(敦賀気比出身)は規定未満でもリーグ4位の7本塁打!
木下元秀(敦賀気比―広島東洋)
プロ野球ドラフト会議も終わり、今シーズンも残すところあとわずか。ファームでは中止による再試合は行われないため、11月1日をもって公式戦が終了し、7日のファーム日本選手権が最後の試合となる。本連載では、高卒新人たちのファーム成績を追いかけ、その成長を分析する。第19回では、野手たちを見ていこう。
規定打席未到達でも木下元秀、川野涼多が好成績
10月25日終了時点で、ファームの規定打席に到達している高卒新人野手は9人。11日終了時点では達していなかった横浜DeNAの森敬斗(桐蔭学園)が、再び名を連ねた。下記グラフは、9人のOPSを長打率、出塁率の2軸で可視化したものだ。
OPS.8に迫る勢いだった中日の石川昂弥(東邦)が、ここにきてやや数字を落とし、OPS.754としている。打率.278も微減で首位の小園海斗(.306)と少し差があるが、残り数試合でラストスパートを見せればタイトル獲りも可能な位置につけている。
石川に次ぐOPS.734をマークしている東北楽天の黒川史陽(智辯和歌山)は、長打率、出塁率とも微増で、打率3割に迫る(.294)。イースタン・リーグ7位と、首位打者は厳しい位置にいるものの、1年目からファームで3割打てれば上出来。なんとかそこに乗せたいところだ。
14日の試合で一軍デビュー、16日の試合で初安打を放った阪神の井上広大(履正社)はファームでの出場機会が減り、トップに立っていた本塁打・打点で3位に後退してしまった。一軍での経験を糧に、ラストスパートを見せることができるか。一つの目安として、OPS.7に乗せておきたいところだ。
中日の岡林勇希(菰野)は、ここにきて長打率を3分ほど上げ、それに伴いOPSも上昇。本塁打はないものの二塁打、三塁打を増やしており、何かを掴んだのかもしれない。シーズン序盤から見せていた確実性に、長打力を身に付けることができれば、ベテランの多い一軍レギュラー争いに食い込んでくる可能性もある。
東京ヤクルトの武岡龍世(八戸学院光星)、長岡秀樹(八千代松陰)は、23日に揃って一軍昇格を果たした。これが初の一軍となった長岡はここまで初安打は出ていないものの、まず1本打って、残りのシーズンを一軍で過ごしたいところだ。ファームではともにOPS.6前後の着地となりそうで、まずまずの1年だったと言えるだろう。
二遊間を守るオリックスの紅林弘太郎(駿河総合)、横浜DeNAの森敬斗(桐蔭学園)、広島東洋の韮沢雄也(花咲徳栄)の3人は、OPS.55前後となりそうだ。紅林、森は安打数/三振数が約80%なのに対し、韮澤は約155%と、2人に比べて三振の割合が非常に少ないのが特徴的だ。3人の打率は.220前後とほぼかわらないが、バットに当てる技術においては韮澤が一つ抜けている数字と言える。
上記9人は今シーズン、200打席以上に立つなど、攻守で一定の経験を積むことができた選手たちだ。育成(特に野手)において、何より大事な経験を積むことができたのは、来季の飛躍へ向けた大きな材料となるだろう。
しかし、規定打席に届かずとも広島東洋の木下元秀(敦賀気比)は、井上に次ぐリーグ4位の7本塁打を放つなど、長打力を発揮した。埼玉西武の川野涼多(九州学院)はOPS.682と、こちらもまずまずの数字だ。
ファームの公式戦も残り1週間ほど。最後の最後に飛躍のきっかけをつかむ選手が出てくるのか。はたまた一軍で輝きを放つ選手はいるのか。最後まで注目していきたい。
※成績は全て10月25日終了時点
データ協力: やきうのおじさん(@yakiunoojisan)
Twitterで野球の分析を行う。本記事のデータはすべて日本野球機構(NPB)のオープンデータを使用。
(記事:林 龍也)
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