新井貴浩が出世頭!広島のドラフト下位指名から躍進したのは?
2018年シーズン限りでユニホームを脱いだ新井貴浩氏(※写真は2018年)
ペナントレースも残り40試合を切った。優勝争い、順位争いだけでなく個人タイトル争いにも注目が集まってくる。
セ・リーグの打率ランキングを見ると佐野恵太(DeNA)がトップを走り、村上宗隆(ヤクルト)らと争っている。その佐野は2016年ドラフト9位という下位指名だった。アマチュア時代の低評価を覆し、プロのセ界でタイトルを獲得できるか注目が集まっている。
さてこんな佐野のように、ドラフト下位指名から躍進を遂げた選手は多くいる。各球団(前身球団含む)のドラフト下位指名(6位以下/育成を含む)から、想像以上の成績を残した選手を振り返ってみたい。
佐々岡真司新監督体制となった広島は、今シーズン苦戦している。とくにセットアッパー、抑えとして期待されていたD.Jジョンソン(現楽天)とスコットの両外国人選手がそろって結果を残せず、勝ちパターンが破綻してしまった。
復活を期していた2016年からの3連覇を支えた中崎翔太(日南学園高)も調子が上がらず、今年は6試合に登板したのみ。7月10日に登録を抹消され、二軍で登板していたものの、9月中旬に右後上腕回旋動脈瘤(りゅう)切除術の手術を受け、事実上今シーズン絶望となっている。
そんな中崎は2010年ドラフト6位指名とアマチュア時代の評価は高くなかった。しかし、2年目に一軍デビューを果たすと徐々に登板数を増やし、2015年からは抑えに定着。途中離脱したこともあったが、ここまで115セーブを挙げている。広島の投手陣ではドラフト下位指名から、もっとも躍進したといっても過言ではないだろう。
一方の野手陣では新井貴浩(駒沢大)がいる。1998年6位指名で入団した新井は広島、阪神そして広島と渡り歩き通算2203安打を記録したレジェンドである。日本代表でも4番を務めた球界を代表する存在でもある。新井はドラフト6位という評価ながら2年目には92試合の出場で16本塁打を放つと、3年目には124試合に出場し18本塁打と早くから結果を残していた。早い段階でチャンスをものにしたことで、ドラフト下位指名ながら遅咲きの部類には入らない。
その他には代打で活躍した浅井樹(富山商/1989年6位)や天谷宗一郎(福井商/2001年9巡目)も下位指名組だ。
また、下位指名ではないが4位指名で多くの名選手が誕生している。
水谷実雄(宮﨑商/1965年)、達川光男(東洋大/1977年)、前田智徳(熊本工/1989年)、金本知憲(東北福祉大/1991年)、福地和広(杵島商/1993年/後に登録名を寿樹に変更)、高橋建(トヨタ自動車/1994年)、石原慶幸(東北福祉大/2001年)、松山竜平(九州国際大/2007年大社)らが4位からチームの主力へと成長した。
現在は、鈴木誠也(二松学舎大付/2012年2位)や森下暢仁(明治大/2019年1位)、大瀬良大地(2013年1位)といった上位指名組がチームの中心となっているが、下位指名の選手たちからも主力が生まれることに期待したい。
【ドラフト6位以下の主な選手】
※前身球団含む
※育成指名含む
浅井樹(富山商/1989年6位)
新井貴浩(駒沢大/1998年6位)
広池浩司(全日空/1998年8位)
天谷宗一郎(福井商/2001年9巡目)
梅津智弘(國學院太/2004年ドラフト6巡目)
中崎翔太(日南学園高/2010年6位)
(記事=勝田聡)