ヤクルトの高卒新人・長岡秀樹の長打力が急上昇!黒川史陽が4人目の高卒新人安打!
今シーズン、ここまでに中日の石川昂弥、岡林勇希、東京ヤクルトの武岡龍世、そして東北楽天の黒川史陽と4人の高卒新人野手が一軍デビューを飾り、初安打も記録した。いずれも定着は叶わず、再び活躍の舞台をファームに移しているが、どの選手もファンの心が躍るような輝きを見せてくれた。本連載では高卒新人たちのファーム成績からその成長を追いかけ、現在地を分析する。第13回では、野手たちを見ていこう。
東京ヤクルト・長岡秀樹のOPSが0.1ポイント以上アップ
高校時代の長岡秀樹(八千代松陰)
9月13日終了時点で、ファームの規定打席に到達しているのは9人。いずれも前回(8月31日)から規定打席に達していた選手たちで、この間も順調に出場数を伸ばしていたことが分かる。彼らのOPSを可視化したものが下記グラフだ。
OPSでトップを記録しているのは中日の石川(東邦)で、OPS.757と前回から微増。117打席で2本塁打とやや物足りない印象も受けるが、打率2割台後半をキープしており、9人の中では打率、長打率、出塁率といずれもトップの数字を記録している。
石川に次ぐ成績を残しているのが、東北楽天の黒川史陽(智辯和歌山)だ。石川同様、前回よりも数字を上げてきた。さらに黒川は、9月4日の一軍昇格後、即スタメン出場。初打席で犠飛を放ち打点を記録すると、6日の試合ではプロ初安打となるタイムリーを放った。4試合で9打数1安打、2打点という結果で11日に登録抹消となったが、ファームで早速マルチヒットを放つなど、再昇格を目指して奮闘している。
今回、最も注目したいのが、東京ヤクルトの長岡秀樹(八千代松陰)だ。OPS.639と前回から0.1ポイント以上伸ばし、上位に食い込んできた。この間10試合に出場し、41打席で13安打を記録。13安打のうち二塁打4本、本塁打2本と長打を量産し、長打率を大幅に向上させてきた。高校通算19本塁打と飛び抜けた数字をマークしていたわけではないが、ここにきて才能が開花しつつある。この調子で成長を続ければ、5人目の一軍デビューも近いかもしれない。
阪神の井上広大(履正社)は、一時の勢いを考えるとやや停滞気味に見えてしまうが、それでも再びOPS.600を越えてきた。まずはこの位置をキープしつつ、打撃の確実性を向上させていきたいところだ。とは言え阪神待望の高卒スラッガーだけに、まずは長所である長打力を伸ばしていきたい。
ともにショートが本職の東京ヤクルトの武岡龍世(八戸学院光星)はOPS.568、横浜DeNAの森敬斗(桐蔭学園)はOPS.567と、OPS.600に近づいてきた。特に森はこの1ヵ月の間に規定打席に乗り、OPSも0.1ポイント以上あげてきた。シーズン終盤での一軍昇格へ向けて、もう一つ突き抜けたいところだ。
広島東洋の韮沢雄也(花咲徳栄)、読売の菊田拡和(常総学院)、オリックスの紅林弘太郎(駿河総合)はOPS.500前後と苦しんでいる。しかし伸び盛りの高卒1年目、長岡のようにきっかけを掴んで急上昇する可能性も秘めている。特に紅林はファーム最多の61試合、244打席に立つなど、疲労もピークだろう。それでも数字を大きく落とさずにいるのは、今後に繋がる経験となるハズだ。
既に一軍では、自力優勝が消滅したチームも出ており、中には来季へ向けた育成に切り替える球団も出てくるだろう。そのときに声がかかり、しっかりチャンスを掴めるか…ルーキーたちの今後の奮闘からますます目が離せない。
※成績は全て9月13日終了時点
データ協力: やきうのおじさん(@yakiunoojisan)
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(記事=林龍也)