中日の先発ローテーションに生え抜きの高卒投手は不在。山本、小笠原の巻き返しに期待
高卒先発である小笠原慎之介には今後も期待が懸かる
今秋のドラフトへ向けた高校生合同練習会が東日本、西日本それぞれの会場で行われた。甲子園が中止となったことでアピールの場を失ってしまった選手たちが、プロ野球団のスカウト陣を前に思う存分プレーしたようだ。
そのなかで山下 舜平大(福岡大大濠)や内 星龍(履正社)に豆田 泰志(浦和実)ら投手陣に注目が集まっていた。各球団ともにチームの屋台骨を支えてくれるような先発投手を高卒で獲得することができたら、数年はやりくりが楽になる。
さて、現時点では各球団、生え抜き高卒の先発ローテーション投手は、どれだけ存在しているのだろうか。各球団の今シーズンにおける登板数上位5名を振り返ってみたい。
中日は大卒及び社会人の投手たちが、先発ローテーションの中心を担っている。
そのなかで開幕からローテーションを守っているのは、大野 雄大(佛教大)ひとりだけしかいない。その大野は開幕当初こそ苦しんだが、7月31日のヤクルト戦からは5試合連続完投勝利とエースの投球を見せている。
大野に続くのが、昨シーズンブレイクした柳 裕也(明治大)と昨シーズン中にオリックスから移籍してきた松葉 貴大(大体大)である。
柳は右腹直筋の筋挫傷で1ヶ月ほど戦列を離れたがチーム2位となる8試合に先発。ここ3試合連続で苦しい投球だが、先発ローテーションには欠かせない存在だ。
一方の松葉は2連勝スタートだったものの、8月以降は1勝もできず3連敗中。しかし防御率2.68と投球内容は安定しており、先発ローテーションもきっちりと守っている。めぐり合わせの問題だろう。
以下、7先発の梅津 晃大(東洋大)、そして6先発の福谷 浩司(慶応大)、岡野 祐一郎(東芝)、勝野 昌慶(三菱重工名古屋)と続いている。
この顔ぶれを見てもわかる通り、今シーズンの中日は生え抜きの高卒投手が先発としてほぼ起用されていない。とはいえ、ここまで生え抜きの先発投手が0だったわけではない。山本 拓実(市西宮)が開幕ローテーション入りを果たしたものの、結果を残せず中継ぎへの配置転換を経て登録を抹消された。入れ替わるようにして一軍に上がってきた小笠原 慎之介(東海大相模)も、4試合の登板で1勝3敗、防御率7.11の内容で9月に入ってから登録を抹消されている。
そのため、現在は先発ローテーションに高卒の生え抜き選手はひとりもいない。また中継ぎ陣を見ても藤嶋 健人(東邦)ひとりだけ。全体的に大卒や社会人出身、そして外国人選手と移籍組で構成されている。
山本や小笠原はもちろん、清水 達也(花咲徳栄)や石川 翔(青藍泰斗)といった二軍で力を蓄えている若手も含め、先発、中継ぎ問わず、生え抜き高卒の投手の台頭に期待したい。
【先発登板数上位】
1位(12)大野 雄大(佛教大)
2位(8)柳 裕也(明治大)
2位(8)松葉 貴大(大体大)※オリックスより移籍
4位(7)梅津 晃大(東洋大)
5位(6)福谷 浩司(慶応大)
5位(6)岡野 祐一郎(東芝)
5位(6)勝野 昌慶(三菱重工名古屋)
※数字は2020年9月8日終了時点
(記事:勝田聡)
関連記事
◆大野雄大投手(京都外大西-中日ドラゴンズ)「いつでも『何くそ』の気持ちで這い上がる姿を見せてほしい」
◆京都外大西時代の恩師が語る大野 雄大(中日ドラゴンズ投手・プレミア12侍ジャパン代表)の当時と現在
◆中日・柳裕也は横浜高校OBでは珍しい大学進学組