石川慧亮(青藍泰斗)を筆頭に木製バットにしっかりと対応していた5人の逸材打者たち
平尾柊翔と石川慧亮
9月5日、「プロ志望高校生合同練習会」東日本会場(東京ドーム)が開催された。野手のフリー打撃ではそれぞれの打者が持ち味を発揮したが、その中でも光る打撃センスを発揮していた逸材を5名紹介したい。
石川 慧亮(青藍泰斗)
木製バットの対応力は高校通算本塁打だけで測れないと実感させるのが、石川の打撃だ。コロナの長期自粛があったとはいえ、高校通算21本塁打は全国の中では飛び抜けて多くないが、石川の魅力は通算本塁打だけでは測れない。完全に木製バットを自分のものにしているような打撃。東京ドームの中段に打ち込んだ打撃メカニズムは本物。それでいて初球から振れるメンタリティの強さ、打撃練習だけでも佇まいから雰囲気がある。ライトの守備ではまだ鍛える余地はあるが、ダイレクトの返球を披露。また1つ評価を挙げた逸材ではないだろうか。
平尾 柊翔(春日部共栄)
軟式U-15代表で4番を務めた左の強打者。下級生から活躍し続ける逸材だが、やはり東日本、西日本の中でも別格。足を上げてからトップに入って振り出しに入るまで無駄がなく、スムーズにバットが出ている。練習会の打撃を見ている方ならば分かるが、ヘッドの重みに負けてしまい、ヘッドが下から出てしまい、いわゆる波を打ったスイングになってしまう高校生が非常に多い。平尾の場合、普段から練習をしているのか、内回りのスイングができていた。守備は平均レベルなので、NPBはどう評価するかわからないが、大学だけではなく、独立リーグでも即レギュラー級の打撃をしていた。
渡部 海夢(東海大甲府)
村中監督からスイングスピードは高橋周平以上と絶賛される逸材は実に素晴らしかった。右足を高く挙げるフォームから内回りのスイング軌道で振り抜く選手。そのスイングスピードの速さは絶品で、内容は、山梨大会決勝戦で場外弾を放った時と変わりないレベルにある。決勝戦からわずか1ヶ月ほどでこのレベルにしているのだから、相当考えて、自主的に量と質が伴った練習をしているのではないだろうか。
藤田青空(弘前東)
シートノックではスローイングタイム1.9秒台の強肩を連発した東北地区屈指の好捕手。
打撃も素晴らしく、右打者では石川に次いで基本に忠実な打撃をしていた。余計な反動は使わず、滑らかなスイング軌道で長打を連発。下半身の回転もきれいで、西日本、東日本で参加した捕手陣の打撃ではトップクラスの逸材だ。
松倉 星斗(池田工)
サプライズだったのが、松倉星斗。打撃練習では柵越えも記録。内回りのスイング軌道で実に素晴らしい打球を飛ばす。どっしりとした構えといい、下半身主導の打撃フォームは高校生とは思えないほどの完成度が高かった。木製バットをしっかりと使いこなしている選手だといえるだろう。
大学でも地方ならばベンチ入り。独立リーグも環境次第では1年目からスタメン出場も狙える打撃力を持った選手だ。ドラフト候補と騒がれている捕手と比較しても打撃力は上回るものがある。ちなみに長野県では高校通算31本塁打の高寺望夢(上田西)が注目されているが、打撃のメカニズム自体は松倉が良かったといえる。
ただスローイングは2.00秒台で、軌道を見ても全体的に高く、まだ鍛える余地がある。