初戦21得点で快勝!昨秋4強の大村工はチーム全員で独自大会の優勝を狙う!
注目スラッガー・作本想真 ※写真提供=大村工野球部
7月11日より令和2年度 長崎県高等学校野球大会が開幕した。秋の長崎を制した大崎をはじめ長崎の頂点を目指す戦いが始まるが、その大会で12日に白星を上げたのが大村工だ。
準決勝で大崎に0対7で敗れ、「投手力や守備力が課題だった」と指揮官の高比良俊作監督は分析し、冬場も練習を重ねてきた。しかし新型コロナウイルスの関係で活動は自粛。
全体で練習ができない期間中、大村工は高比良監督も入ったグループLINEで選手それぞれが自主練習の内容を報告。決して強制はせずに選手に任せてきたが、気になった選手にはアドバイスを送ることでコミュニケーションをとり続けた。
また高比良監督から選手に向けて毎日問題を出した。「バッターが誰でランナーがどこだからどんなバッティングが必要なのか。ルールではなく状況を想像して答える問題を出しました」と体だけではなく、頭も再開に向けて準備を進めていた。
大村工では5月の連休明けから練習が再び始まった。対外試合はできなかった分、土日に紅白戦を実施するなど出来ることを積み重ねて甲子園に向けて準備をしてきた。だが20日に甲子園、さらには地方大会の中止が決まった。
目指してきた舞台が無くなりショックを受ける学校も多い中だったが、「ウチは上手く切り替えが出来た方だと思います」と高比良監督は振り返る。
「ウチは甲子園を一番にするのではなく、世界一楽しい野球を目指しています。その過程に甲子園があることを伝えてきたので、選手たちが理解してくれたんだと思います。ですので、幸いにも涙を流す選手もおらず、上手く切り替えが出来たと思います」
さらに高比良監督は選手たちにこんなメッセージを送った。
「これまでの先輩たちは甲子園に行けずに泣いたのではなく、試合に負けたから泣いたんだ。だから独自大会で優勝をして、甲子園に出場する権利を手にしてから嬉し涙と悔し涙を流そう」
6月に入ってから練習試合をしながら練習を続けてきた大村工。独自大会での優勝を目指し、最後の大会へ準備してきた。この大会でキーマンとなるのが、打撃では12日の試合で高校通算32本塁打となった作本想真。そして守備では成長著しい田崎の2人だ。
「チーム全体のバッティングは県内トップだと思いますが、その中で作本は4番として中心になります。昨年の大崎戦が終わってからの練習試合で22本塁打を打っています。確実ミートすれば打球が飛びますが、身体に切れが出てきてさらに良くなりました。
田崎は高校から本格的野球を始めましたが、182センチで手足が長いんです。それを活かして投手らしいボールを投げ込んでいます。球速にしたら135キロくらい出ますが、初速と終速の差が少ないのが一番の魅力です」
バッティングのウリのチームだが、6月は天候の影響であまり練習ができず、打者は調子を維持することが困難だったとのこと。しかし課題だった守備で守り勝てる、新たな野球が確立されつつあった大村工。高比良監督は最後に独自大会に向けて意気込みを残してくれた。
「心の面でムラが出ることがありますが、チーム全員で独自大会の優勝を目標にやっていきます」
昨秋はベスト4とあと少しで九州地区大会を逃した。悔しさを晴らして長崎の頂へ。初戦は作本の高校通算32本目となるホームランなどで快勝した大村工。次なる相手は壱岐となる。集大成の夏にどんな結果を残すのか、今後も注目だ。
(記事=田中 裕毅)
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