田中英祐(元千葉ロッテ)の母校・白陵(兵庫)がSNS運用する理由
白陵の練習模様 写真は2016年から
近年、高校野球でもSNSアカウントを立ち上げる高校が多くなった。京大からプロ入りした田中英祐投手(元千葉ロッテ)の母校でもある白陵もその中の1つだ。
TwitterアカウントをはじめとしたSNS運用は今年からチームの指揮を取る小川裕人監督が行っている。なぜSNSの運用を始めたのか、それは自身の実体験からくるものだった。
「私は白陵OBなのですが、都内の小学校の教員として、東京にいた時に母校の情報を知ることができたのは、夏の大会の速報による大会結果くらいでした。そこについてはやはり『寂しさ』というものを感じていました」
こうした感想は小川監督だけのものではないだろう。そこで白陵に戻った小川監督はSNSを活用することを決意したのだ。
もちろん運用・管理方法について不安がある。少しずつSNS運用を始めるチームが増えているとはいえ、他の業界と比べれば、非常に少ない。それでも活用して3年が経ち、メリットは不安を上回るものがあった。
「まずOBからも『現在の活動がわかるので嬉しい』『応援に行きたくなった』という声を多くいただくようになりました。また投稿をきっかけに、練習と試合を見に来てくださる方も増えてきています」
小川監督も自身と近い年代の先輩や後輩との会話でも、チームの活動状況について話し合えるなどOB同士のつながりが強くなった。小川監督が考えていた本来の狙いが上手くいった形になる。
OB同士のつながりだけではなく、他校からも投稿を閲覧、参考にしている声も増えてきた。
兵庫県は7月に独自大会が開催されるが、練習試合の調整が出来ず困っていたところ、Twitterを通じて連絡を取り合い、何とか決めることが出来たとのこと。
白陵はTwitter以外にも、Facebookアカウント、Instagramアカウントも立ち上げている。FacebookはOBを対象にした中年世代、Instagramは現役の中高生へ向けて投稿と、それぞれのSNSの主な年齢層をターゲットにした施策も行っている。
もちろん個人情報に関わる部分があるので、投稿については情報リテラシー、モラルなど理解し、その上で野球部側が判断できない場合は学校側と相談し、運用していく方針だ。
注意すべき点もあるが、上手く活用が出来ればチームには大きなプラスをもたらしている。それは白陵に限らず、今回の事態を受けて多くのチームが感じたことだ。運用する目的はチームそれぞれだが、白陵のようにSNSとうまく付き合っていくことも今後は必要になってくるのではないだろうか。
(記事=田中 裕毅)
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