甲子園10度の出場経験持つ福岡(岩手)!目標の優勝へ、ギアを上げて7月4日の初戦を迎える
福岡ナイン(写真提供=福岡野球部)
6月15日に全国で最も早く夏の独自大会の抽選会が開かれた岩手県の県北地区。7月3、4日の2日間で行われることになっているが、4日の試合に出場するのが福岡だ。
岩手県二戸市に学校を構え、過去10回の甲子園出場経験を持つ伝統校の福岡は、5月の段階から練習時間、そして対外試合の際の移動の制限等をかけながら再開。6月に入り、練習時間は3時間までとなっているが、少しずつ緩和されてきている。
5月20日には甲子園、そして地方大会の中止が出たが、福岡ではその時練習をしていた。当時のことを、チームを率いる田中純一監督はこのように振り返る。
「チームの目標は甲子園出場でしたので、そこが無くなったことは選手も私もショックでした。しかし、『この現実を受け止めなければ先には進めない』と思いましたし、目標が無くなって次をどうするか。そこを考えないといけなかったので、選手たちに事実を伝えたうえで、『今後どうする』という問いを投げかけました」
毎年、国公立の大学に現役で合格者を出している進学校でもある福岡は、勉強も両立しければならない。田中監督はそれを理解したうえで、3年生の選手たちに宿題のような形で、甲子園から切り替えて受験勉強をするのか。それとも違う大会が開催されることを信じて、最後まで次の目標を立てて継続するか。その判断を選手たちに任せて、20日の練習は終わった。
そして21日、3年生が出した答えは継続だった。
「代わりとなる大会が開催されることを信じて、その大会で優勝するという具体的な目標まで立てたうえで、3年生全員が『やりたいです』とのことでしたので、目標を甲子園から切り替えて活動を再開しました」
その代わりの大会だが、6月9日に正式に開催されることが岩手県高野連から発表された。「少しずつ開催の方向で進んでいる情報はあったので、チームの雰囲気は急に変わることはありませんでしたが、いち早く目標を立てて再開したので、モチベーションの浮き沈みはあまりなく練習ができています」と田中監督は「令和2年夏季岩手県高等学校野球大会」の開催決定当時のことを振り返る。
現在は実戦練習を中心に練習を重ねてきている。しかし細かなプレーまでは時間の制限の関係で詰め切れていない。走攻守のバランスはとれているチームだと感じているものの、どんな形に仕上がるか。大会までの期間で見極めていくこととなる。
初戦は4日、相手は伊保内と決まった。勝てば県大会への出場が決まる。「本当に大会をやるんだ。大会が始まるんだということで、夏が来たことを実感しているようです。練習も緊張感が増して、気持ちのギアが一段上がった感じです」と夏本番モードに入ってきていると感じ取っている。目標に掲げる大会優勝へ、福岡の調整はこれからも続く。
(取材=田中 裕毅)
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