東海大菅生・若林監督が選手たちに「吉田松陰の生き様」を伝えた理由。
東京都高校野球連盟は1日、中止となった第102回全国高校選手権東東京大会と西東京大会の代替大会を7月18日から開催すると発表した。
首都圏の緊急事態宣言解除に伴い、すでに東京都内では練習を再開しているチームもあり、球児たちの夏が少しずつ動き始めている。
第99回全国高等学校野球選手権大会(2017年)でベスト4に進出した東海大菅生は、5月30日に全体練習を再開し、約2ヶ月半ぶりに全体ミーティングも行なった。
活動休止の期間中は各個人での練習しか出来ない状況だったが、「予想以上に体は動いていた」と若林監督は話す。選手たちは高いモチベーションを保った状態で、バッティング練習やピッチング練習、またアメリカンノックや綱登りといった体力強化のトレーニングにも早くも取り組んでいる。
実は若林監督は30日の全体ミーティングの際に、幕末に活躍した偉人・吉田松陰の生き様を選手たちに聞かせた。
ペリーの黒船が現れた時、吉田松陰は海外を見たい一心で国禁を犯し、黒船に密航することを決意する。結果的に密航は叶わず、吉田松陰は投獄されることになったが、牢屋に入れられても諦めることなく勉学を続けた。
アメリカンノックの様子
その様子を見た浪人たちは、今から殺されるのになぜ勉強などするのかと笑ったが、吉田松陰は「知って死ぬのと知らないで死ぬのとでは大違いだ」と言い放つ。
そしてその言葉に感化された浪人たちも、吉田松陰のように勉強に励むようになったのだ。
「何が言いたいかというと、どんな窮地に立たされた時でも、その人の行動で色んなことが変わるかもしれないということです。
吉田松陰はその後安政の大獄で処刑されますが、その門下生だった者が行動を起こして、明治維新を完成させます。
だから今、お前たちが置かれている状況も、どう考えてどう動くかだと言いました。
性格がその人間の運命を決めるから、俺は選手たちが可哀そうだと言わないし、まだ奇跡が起きるかもしれないと伝えました」
若林監督は一貫して、秋季大会や来年の選抜甲子園にも3年生が出場できるようになることを望んでおり、甲子園を懸けた真剣勝負、甲子園での真剣勝負を行った上で、高校野球を終えさせてあげたといと願っている。
玉置真虎主将も、「自粛期間中に、ウエイトトレーニングも個人でやっていた選手もいて、打球の伸びが変わった選手もいます。支えてくれた親や指導者の方々に、何とか恩返しができるように思い切ってプレーしたいです」と力強く話し、まずは大会に向けて全力で取り組む姿勢を見せる。
代替大会、そして僅かな望みを信じて甲子園を目指す若林監督と東海大菅生の選手たち。
3年生の選手たちは、果たしてどんな高校野球の終わり方を見せるのだろうか。
(記事=栗崎祐太朗)
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