昨秋8強の日大二は、野球DNA構築と選手たちの身体作りの成果に期待
日大二・田中吉樹監督(*写真は昨秋東京大会一次予選より)
「ウチもよそと同じです。今年になってからは練習試合経験は、なしです」
と言うのは、日大二の田中吉樹監督だ。一応、紅白戦という形で練習はしてきてもいたものの、毎年、日大二の場合はオフの練習としてはむしろ体力作りというか身体作りをメインとしてやってきている。
そんなこともあって、毎日、体重と手首回り、ウエストなどの計測数値は報告するようにしているという。伝えられてくるその数値そのものは決して悪いものではないという。
「毎日数値のチェックはしているので、選手たちの体調そのものはどうなっているかということは、大体の様子は分かっているつもりではいます。去年までは、身体の線が細かったヤツも、だいぶ大きくなっているとは思っていますよ。体重は落ちていないみたいだし、ヒップ回りなんかも1メートル超えているヤツも出てきました」
田中監督が身体作りにこだわるのにはワケがある。というのも、かつては甲子園に出場して、1982年夏には当時全盛を誇った池田と接戦を演じたという実績もある日大二。ただ、その後は学校の方針もあって進学校として特化していった。その結果、野球部としてはやや低迷気味となっていたことも否めなかった。
そんなこともあって、日大二の場合、現在ではどちらかというと中学時代に公式のクラブチームで身体作りからしっかりとやってきたという選手は少ない。それよりは、系列附属校からの内部進学者も含め、華奢な感じの生徒が多いという。だから、オフの間にはしっかりと身体を作って、高校3年の夏までにしっかりと他の強豪校の選手たちと渡り合えるような身体を作っておこうというのが指導方針でもあるからだ。
こうして、選手たちが入学してきたら3年の夏までに、しっかりと高校野球選手として他の強豪校に伍して戦えるだけのものを心身ともに身に付けていくということを指導指針としているのだ。
田中監督は、常々“野球DNA”という言葉を用いている。それは、日大二で野球を通じて学んでいったものを次世代へつないでいってほしいという思いからの言葉でもある。だから、試合の勝ち負けということだけではなく、野球を通じて心身ともに強くなっていくという信念が根底にはあるのだ。
今回のコロナ自粛の期間だが、多くの学校が導入しているLINEミーティングのようなものは行ってはいない。ただ、必要がある場合はトレーナーから、メニューは配信されていくというシステムにはなっているようだ。
学校としては5月中旬からはオンライン授業が実施されているという。実は、それが意外とハードだという。各教科の課題があって、6時間授業の割り振りで提供されてきている。オンラインになると、画面を通して一度に様子が見えるので、却って生徒たちも緊張して疲れることもあるようだ。
生活リズムとしても、通常の学校がある時と同じようにということを原則としているので、トレーニングなどは6時限分の授業が終わった後ということになっている。そういう意味では、生徒たちの生活の感覚としては、通常の学校がある時と、さほど違いはないともいえそうだ。
今年のチームは、たまたまバッテリーが近くに住んでいたということもあって、時間と場所を見つけて、キャッチボールは可能だということである。だから、投手によっては200球くらいの投げ込みも出来ている者もいるという。
「身体作りの数値も悪くないし、いろんな報告を聞いていると、(自粛期間の活動は)悪くはないかなと感じています。それに、大会が中止になってガックリしているのかと思ったら、案外そうでもなく、サバサバしているヤツも多いみたいなんですよ。そういう意味では、代替大会にはスッキリして挑めるかなとも思っています。いつからになるかわかりませんけれども、グラウンドで選手たちが集まって練習が出来る日が楽しみなんですよ。頑張れそうだな、良さそうだなという状態は感じています」
そんな思いを抱きながら、田中監督は毎日のように、立川市の専用グラウンドへ足を運んでは草むしりなどをしているという。入念にグラウンド整備を行いながら、再開となって、選手たちが集まってくる日を待っている。
(記事=手束仁)
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