昨年センバツ出場の大分。代替大会優勝へ向けて闘志を燃やす
大分バッテリー(*写真は昨春の交流試合明石商戦より)
今春の選抜に続き、夏の甲子園の中止が5月20日に決定した。最後の夏を迎えようとしていた3年生をはじめ、多くの高校野球関係者にとって厳しい現実となってしまった。しかし現在も分散登校や休校中など活動が再開できていないのが現状にある。
2019年の選抜に出場していた大分も今は分散登校で全員が揃って練習できない状況にある。そんな中で迎えた20日、会見の様子を見ていた廣瀬茂部長は、「スポーツの根本には健康や安全がありますので、それを踏まえての決定だったと思っています。治療薬などが整っていなかったので、『難しいかもしれない』と考えているところもありました」と振り返る。
一方でチームを指揮する松尾篤監督は「練習前に学校で会議がありまして、別の人から結果を教えてもらいました」ということで、選手たちと話が出来たのは練習後だった。そこで話したことは前向きな話だった。
「甲子園が無くなったが県大会は開催の方向で進んでいる。新人戦では明豊にサヨナラ、秋季大会では大分商に終盤で負けていますので、その2校へのリベンジへのチャンスがあることを伝えました。その上で、『県NO.1になって優勝Tシャツ、石碑を立てよう』と話をしました」
松尾監督は日ごろから選手たちに「伝説を作ろう」と声をかけ続けてきていた。夏の甲子園が無くなるなど2020年は今後語り継がれるであろう1年だが、その年に開催される大会で優勝できれば松尾監督の言う通り、伝説の優勝となるはずだ。選手たちは目標に向かって再び練習をしているのだ。
20日の練習に来られなかった選手のことも考え、廣瀬部長からアプリを通じて全員へメッセージを送るなど、メンタルのケアは十分に行って練習を再開している。その効果もあってなのか「頭が下がります。やるべきことに集中できている。頼もしい。凄いです」と練習の姿勢に廣瀬部長は驚きを隠せない。
選手たちがここまで前向きにできるのは何故なのか。廣瀬部長はこのように分析した。
「『welcome逆境』を合言葉に自分たちのプレーで人を勇気づける、感動させる。他人を喜ばせる他喜力、恩を感じ取る力をつける恩感力を発揮することを目指してきたことで、目的がブレなくなってきているのではないかと思います。」
6月から本格的に練習が再開していく大分。「大会があるだけでもありがたいことですし、選手も努力の成果を見てもらえる舞台があることは励みになっています。そこで優勝して嬉し涙で終われればです」と松尾監督は最後に語った。県独自の大会は開催に向けて動き出している。夢の舞台への道は閉ざされてしまったが、未来に繋がる道として代替大会が開催されることを願うばかりだ。
(記事:田中 裕毅)
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