「スパイクに慣れておきなさい」 積雪地域・福井の奥越明成が待ちわびる、グラウンドで練習できる日々
写真は2020年冬場から
5月の長期連休が明けたが、今だ新型コロナウイルスの影響で活動再開できていないチームが多い。夏の大会までの時間は刻一刻と迫っている中で不安や焦り、悩みを感じている指導者は少なからずいる。福井県の奥越明成で指揮を執る勝矢吉弘監督も、そんな指導者の1人だ。
奥越明成は4月3日から休校になっているため、部活動も自粛をせざるを得ない状況。31日まで自粛延長を発表しているところが多い中で、福井県内は当面延長というところまでしか決まっておらず、明確な学校再開の予定が立たないため、なかなか練習の計画も立てられないのが現実にある。この状況に勝矢監督は「不安というか見えないことに『どうなるのかな』と感じています」と困惑している。
活動再開まで逆算ができない中で、奥越明成は自粛期間中の練習を選手たちに任せている。週に1度選手たちが体重を報告する際に、主将と学年代表の2人に連絡をする程度でこまめに連絡は取っていない。
選手たちの生活環境などを考慮と、考えて練習を組めるようにさせるためにあえて細かく指示は出していない。ただ、チームで目標にしてきた『2年生が身長-105。そして3年生は身長-100』をだけでも守れるように過ごしている。
「運動量が減ることで体重維持するのは難しいです。ただ毎日体重計に乗る習慣はあると思うので、その結果を見て練習メニューを考えて組んでくれていると思います」
それと勝矢監督が選手たちに伝えているメッセージが「スパイクに慣れておきなさい」ということ。奥越明成は冬場になると雪が積もるため、グラウンドで練習が出来ない。
本来であれば春休み中にグラウンドを使って練習をして調整をするが、今年はできない。そんな状況でも勝矢監督は再開をしたらすぐに実戦が出来るように、スパイクで土の上に立つ感触だけでも選手たちに確認させようと思い、あのメッセージを送ったのだ。
また投手陣には個別で、投げ込みやランニングまで指示。夏の大会に向けて調整をして行くと、実戦が増えるなど投手起用は増えていく。そこでいきなり投げ込んで故障をさせないためにも今のうちから少しずつ出来る準備をして、夏の大会までに怪我無くベストな状態を作れるようにしている。
「どんな形であれ、夏の大会はやってほしいです。その大会を故障なく迎えられるように実戦は多くやることになると思いますが、ストレッチやアップなどのケアを疎かにせずに。怪我がなく夏の大会に入れるようにできればと思います」
入学式も終わり1年生は入ってきたが、実際にどんな選手たちがいて、何人入部するかもわからないという奥越明成。先が見えない中でグラウンドに立てる日を待って準備を進める。無事に再開できるようになることを祈って待つばかりだ。
(取材=田中 裕毅)
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