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大学・社会人も10人全員が一軍で輝き!石川歩、大野雄大ら88年世代ドラ1の現在地

2020.05.12

 野球の世界には「松坂世代」を始め、有力選手が集まった世代を「〇〇世代」と形容する流れがある。毎年12名のドラフト1位が生まれるので、平均すれば各世代に12名のドラ1がいることになるのだが、多い世代、少ない世代というのが出てくる。そこで世代別にドラフト1位を集計し、その現在地を見ていきたい。今回は高卒14年目、32歳を迎える88年世代だ。

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名球会3人輩出の可能性?現役最多・日米通算174勝の田中将大ら88年世代ドラ1の現在地

高卒含め22人のうち16人が今季も現役を継続

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期待がかかる石川歩(滑川・中部大・東京ガス・千葉ロッテ)

 88年世代でドラフト1位指名を受けたのは、高卒12人、大卒6人、大卒社会人4人の計22人。高校生ドラフトで全12球団が高校生を指名したこともあり、人数が多くなっている。後編の今回は、大学生・大卒社会人の10人を見ていく。彼らの主な通算成績は以下の通り。

<2010年ドラフト>

大石達也福岡大大濠・早稲田大・埼玉西武) 6球団競合

132試合 5勝6敗 8セーブ12ホールド 138.1回 136奪三振 防御率3.64

斎藤佑樹早稲田実業・早稲田大・北海道日本ハム) 4球団競合

88試合 15勝26敗 364.2回 209奪三振 防御率4.34

澤村拓一佐野日大・中央大・読売) 単独指名

317試合 47勝49敗 74セーブ50ホールド 834回 750奪三振 防御率2.74

大野雄大京都外大西・佛教大・中日) 単独指名

162試合 58勝61敗 2ホールド 1049.2回 812奪三振 防御率3.31

伊志嶺翔大沖縄尚学・東海大・千葉ロッテ) 外れ1位・2球団競合

448試合 6本塁打 59打点 59盗塁 打率.242

塩見貴洋帝京第五・八戸大・東北楽天) 外れ1位・2球団競合

132試合 42勝48敗 783回 577奪三振 防御率3.67

<2012年ドラフト>

松永昂大高松商・関西国際大・大阪ガス・千葉ロッテ) 外れ1位・2球団競合

354試合 16勝15敗 1セーブ132ホールド 297回 235奪三振 防御率2.94

増田達至柳学園・福井工業大・NTT西日本・埼玉西武) 外れ1位・2球団競合

374試合 20勝26敗 103セーブ85ホールド 390回 351奪三振 防御率2.82

石山泰稚金足農・東北福祉大・ヤマハ・東京ヤクルト) 外れ1位

300試合 20勝26敗 55セーブ60ホールド 470回 395奪三振 防御率3.47

<2013年ドラフト>

石川歩滑川・中部大・東京ガス・千葉ロッテ) 2球団競合

139試合 56勝49敗 5ホールド 850.1回 572奪三振 防御率3.45

 この世代は大卒でもドラフト時の評価が非常に高かった世代でもある。他のカテゴリーにも有望な選手がいる中、12球団の一巡目を大石達也斎藤佑樹の早稲田大組に、澤村拓一大野雄大の4人で占めているのだ。この中で最も結果を残してきたのは、大野雄大だろう。プロ入り時には故障を抱えていた大野だが、2年目に初勝利を挙げると4年目からは3年連続二桁勝利。2018年は未勝利に終わったが、昨季は9勝で復活を果たした。今季は5年ぶりの二桁勝利を狙う。

 澤村は1年目に11勝を挙げて新人王、6年目の2016年には抑えに転向し、いきなり最多セーブを獲得した。今後の起用方次第では100セーブも視野に入ってくる。早稲田大でクローザーとして活躍した大石は、中継ぎ投手として活躍したシーズンもあったが、右肩痛に悩まされた。昨季は2試合登板に終わり、現役を引退した。

 同じく早稲田大で活躍し、4球団競合の末入団した斎藤佑樹。高校時代にはハンカチ王子の愛称で呼ばれ、甲子園決勝・再試合での田中将大との投げ合いは今もなお語り草だ。1年目、2年目は順調に勝ち星を積み上げたが、以降は思うように投げることができず、通算で15勝にとどまっている。この2年間は未勝利に終わっており、10年目の今季は勝負の一年になる。大石、斎藤と同期で福井優也もドラフト1位指名を受けているが、87年世代(1年浪人)で紹介する。

 塩見貴洋は、左肩の故障で登板がなかった2013年以外は勝利を上げ続けている。自己最多は1年目の9勝となっており、今季は先発ローテーション定着、初の二桁勝利を達成したい。大卒唯一の野手となった伊志嶺翔大は1年目、126試合に出場し規定打席に到達。外野の中心的存在へと成長するかに思われたが、層が厚いロッテの外野陣でレギュラーを掴み切れず、引退した昨オフコーチに就任した。

 高校、大学での指名が多かったにも関わらず、大卒社会人でも4投手が指名を受けた。2012年ドラ1の3人はいずれも中継ぎ投手としてここまで活躍を見せている。増田達至は昨季、パ・リーグ2連覇を果たしたチームのクローザーとして自己最多30セーブを挙げ、通算100セーブを達成。故障がなければ200セーブ到達も見えてくるだろう。

 石山泰稚は1年目から60試合に登板、まさに即戦力だった。以降もコンスタントに登板を重ね、55セーブ、60ホールドを記録。また、7年連続で白星も手にしている。松永昂大は入団以来7年連続40試合以上に登板し、132ホールドを記録。貴重な中継ぎ左腕として存在感を見せている。

 この世代最後のドラ1となったのが石川歩だ。社会人で3年間腕を磨き25歳でのプロ入りだが、そこから6年間で積み重ねた勝ち星は56と、大卒組を含めて2番目の数字を誇る。昨季は自身初の中継ぎ登板も経験したが、今季はチームのエースとして、4年ぶりの規定投球回、二桁勝利の期待がかかる。

 高校生ドラフトで12人がドラ1指名を受けたにも関わらず、大学、社会人からも10人のドラ1を輩出した88年世代。しかも、22人中16人が現役を継続している。単純に人数が多いだけでなく、そのレベルも想像以上に高い世代だと改めて実感させられた。

記事:林龍也

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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