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広島商が戦前から広島の高校野球をリード。実績を残す広島の伝統公立校を紹介

2020.05.11

広島商が戦前から広島の高校野球をリード。実績を残す広島の伝統公立校を紹介 | 高校野球ドットコム

 夏の選手権優勝7回で全国第3位、春の選抜優勝5回で全国第5位の中四国を代表する広島商。中でも選手権6回優勝の広島商中京大中京に次ぐ2番目に多い優勝回数だ。

 他には呉港、広島広陵、崇徳が全国制覇の経験がある。広島商以外の3校は私立高校で、さらに近年広島県から甲子園に出場する高校は、広島広陵、広島新庄如水館など私立の高校が多く、広島県の野球をリードしているのは私立高校のイメージが強い。

 だが、広島県大会においては決して私立高校ばかりではなく、多くの公立高校が上位進出を果たしている。今回は広島県の広島商だけではない、魅力や実力のある公立高校を紹介していきたい。

【広島県の魅力的な公立校】
広島商
選手権:出場23回 優勝6回 準優勝1回  選抜:出場21回 優勝1回 準優勝1回
広島工
選手権:出場5回  選抜:出場5回
尾道商
選手権:出場1回  選抜:出場6回 準優勝2回
西条農
選手権:出場2回 選抜:出場1回 
<呉>
選抜:出場2回
広島国泰寺
選手権:出場1回
誠之館
甲子園出場なし

甲子園出場なし

 広島商は言わずと知れた名門だ。選手権優勝回数6回は中京大中京に次ぐ優勝回数だ。特に戦前には1929年、1930年、1931年に夏連覇と夏春連覇も成し遂げている。昭和最後の甲子園となった1988年には6回目となる優勝を果たすと、その後2004年を最後に甲子園から遠ざかっていたが、2019年に15年ぶりに夏の選手権に再び登場。

 惜しくも岡山学芸館に初戦で敗退したが、令和の高校野球に昭和の高校野球を彩った伝統校が甲子園に帰って来たことは印象深い。また福岡ソフトバンク柳田悠岐や、広島商時代には2回、そして広島新庄では3回と、春夏合わせて5回の甲子園出場へチームを導いた迫田守昭監督とその兄で、広島商如水館を春夏8度の甲子園に導いた名将迫田穆成も同校OBだ。

 広島工は合計10回の甲子園出場を誇る強豪校で1986年、1989年の選抜、1992年の選手権でベスト8に進出した実績を持つ。近年でも2012年に甲子園に出場、2013年春夏連続県大会ベスト4、2014年春には県大会準優勝など、活躍を見せる。OBには横浜DeNA石田健大や広島東洋、阪神で活躍した新井貴浩などがいる。今後も甲子園に出場する姿や同校からプロ野球選手が誕生することに期待したい。

 尾道商は1964年、1968年春の選抜で準優勝の経験がある。さらに1982年、1986年には現在呉で指揮をとる中村信彦監督がチームをまとめ、選抜ベスト8に輝いた。それ以降甲子園からは遠のいているが、県大会ではベスト8の常連で2016年秋に準優勝、2019年夏には県大会ベスト4、秋には準優勝など、近年でも実力はそのままで甲子園に手が届く日もそう遠くはない。

 西条農は3度の甲子園出場経験があるが、1993年を最後に甲子園からは遠ざかっている。だが、広島県内においてその強さは健在でベスト8の常連だ。2017年春にはベスト4に進出し、2018年春には決勝まで進出し、惜しくも敗れてしまったが、広島新庄を相手に接戦を演じ、準優勝した。そのほかにもベスト8には度々進出しており、私立の強豪校も目を離せない存在だ。

 呉は尾道商で甲子園ベスト8を監督として経験した中村信彦監督に指揮を任せ、2007年に創部した新設校ながら、2009年秋にはベスト8に進出、2012年春にはベスト4と県内で着実に実力を伸ばしていくと、2015年夏には遂に夏の広島県大会で決勝戦に進出。

 惜しくも広島新庄に敗れてしまうが、実力を県内に見せつけた。2016年秋には遂に中国大会でも結果を残し、中国大会で準優勝、2017年の春の選抜の切符を手にする。選抜では至学館に勝利し、甲子園初勝利を飾ると、次の試合では敗れてしまったものの、この年準優勝した履正社相手に大接戦を演じた。2019年春の選抜にも出場した呉。今後の目標は同校初となる夏の甲子園への出場か。

 広島国泰寺は多くの政治家や実業家を輩出し、文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクールに指定されるなど勉学面での特徴が目立つ一方、スポーツ面に関しても、サッカーで全国大会常連校となるなど、文武両道を貫く学校である。

 野球部は1889年に野球会が創設され、広島国泰寺の前身である、広島中として第1回大会に山陽地方代表として出場した伝統ある部だ。現在でも文武両道の強豪として、結果を残し、2019年には夏、秋と連続して県大会ベスト8に進出している。第1回大会に出場した高校が100年以上の時を経て全国の舞台に帰ってくる姿を見てみたいと思うファンは多いだろう。

 福山誠之館は1855年に,福山藩第7代藩主・阿部正弘公によって創設された藩校「誠之館」を起源とし、創立165年目を迎える歴史と伝統を誇る学校で、野球部も100年を超える歴史を持ち、国泰寺に並ぶ伝統校だ。

 100年を超える歴史の中で甲子園に出場した経験はなく、県大会準優勝が最高成績だが、近年でも成績は安定しており、ベスト16に度々進出する。また2014年夏にはその年の春の県大会を準優勝した広島工を相手に2安打3得点で辛勝し、2016年夏には4回戦で庄原実と延長13回にも及ぶ接戦をものにするなどして、ベスト8に進出している。100年を超える伝統校が甲子園に初出場する日をOBだけではなく、地元住民も待ち遠しく感じている。

 は呉市に位置する文武両道の伝統校で、野球部も甲子園出場経験こそないものの、伝統があり、実力もかなりのものを有している。2014年秋には尾道高陽東を破り、ベスト4に進出、2018年春にはベスト8、2019年春には尾道商ら強豪を次々と破り、再び、ベスト4に進出し、中国大会にも進出した。呉に続く甲子園出場を期待する呉市民は数多く存在する。

 広島広陵や如水館広島新庄など私立高校の活躍がイメージに残る広島県だが、これだけの高校が打倒広島広陵・広島新庄を目指し、しのぎを削っている。またここでは紹介しきれていない、公立の強豪校はまだまだ存在する。今後の広島県から、広島広陵や広島新庄を打ち破り、甲子園に出場してくる公立高校が現れ、群雄割拠となる可能性は十分にある。今後も広島県の高校野球からは目が離せない。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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